- 学業優秀な自閉症の生徒が大学で成功するためには、高校時代に何が重要なのか?
- 自閉症の生徒にとって、補習クラスは適切な支援ではないのか?
- 高校での課外活動が将来の学問的成功にどのような影響を与えるのか?
学業優秀な自閉症の生徒は、正しい高校生活を送ることで、大学でより大きな成功を収めることができます。
これは”Journal of Autism and Developmental Disorders”誌に掲載された、米コネチカット大学の研究チームが行った研究結果です。
「高校は単に苦手を減らすだけだけの場でなく、才能を伸ばすものであるべきです」
そう、今回の研究を行った教育心理学のサリー・ライスは言います。
「このような生徒の興味や強みを活かして、彼らの欠陥に対処できるような教師や親がもっと増えてほしいものです。
補習クラスは、自閉症の生徒たちにはまったく不適切なものです。
私たちが望むのは、自閉症の生徒たちの興味に基づいて、何か好きなことを見つけてあげることです」
この研究では、これまで行われた研究調査の中で、自閉症をかかえる学業優秀な生徒についての最大のデータを使用しました。
「知的な自閉症の生徒の多くは、大学を卒業することができません。そのために関心をもちました」
研究チームは、様々な競争の激しい大学ですでに数年間を終えた学生や、最近卒業した学生のデータをしぼりこみました。
教育心理学部のジョセフ・マダウス教授はこう言います。
「これらの学生が直面する問題の1つは、自閉症がその才能を隠してしまうこと、あるいは才能が自閉症を隠してしまうことです。
もうひとつの課題は、高校での成績が原因で、必要とされる特別支援教育サービスを受けられない可能性があることです。
私たちは、このような生徒たちに、高校で可能な限り難しい学問的カリキュラムに挑戦させ、彼らの長所や情熱を引き出すだけでなく、高等教育への準備もさせたいと考えます」
高校での課外活動もまた、これらの生徒の次の段階での学問的成功に重要な役割を果たします。
ニコラス・ゲルバー准教授はこう言います。
「自分が興味を持ち、情熱を注げる仕事に参加することで、これらの学生は、より良い社会的スキルや戦略を身につけることができる状況に身を置くことができます。
私たちの研究対象に含まれた学生の多くは、大学でもこのような活動をしており、それがキャンパスコミュニティとのつながりを深め、学業成績も向上させていました。
これらの情熱は、彼らが大学でも職場環境でも社会的に直面することになるいくつかの課題を補うのに役立つのです」
研究チームは、今回の研究が親や学生たちにとって、前向きな道標になることを望んでいます。
ライスはこう言います。
「これらの学生の多くは、孤独で、社会的な課題を抱えています。
有意義な仕事は、その出口につながります。
我々は、これらの若者が大学に行くことを望みます。
そして、孤立した経験のために中退してしまった場合には、私達にとって、どれだけの才能を失ってしまうのかについて考えなければなりません」
ライスは、才能ある自閉症の生徒の親に対して、大学進学に向けた高校時代の具体的なアドバイスをしています。
「親は、自分の子どもが興味や成果の点から、少なくとも1つか2つは非常に難しい授業科目をかかえていることを知らなければなりません。
そして、子どもの興味と結びついた課外活動を見つけ、友達を作り、学業以外のことに打ち込む機会を与えるようにします。
学校に関連したものでも、週末に行うものでもよいのです。たとえば、サイエンスセンターでの授業などです。
また、こうした若者の多くが大学で成功を収めている場合には、親が1週間または2週間の夏季宿泊プログラムに参加させることができたからだということもわかりました。
このような宿泊体験は、大学に入学したときに本当に役立ちます」
ライズは、これらの生徒にとって、高校がサポートシステムとして機能し、彼らを理解することができる大人がいることも重要であると言いました。
「自閉症の若者の多くは、社会的な活動に費やせるエネルギーが限られています。
そのため、充電できる時間が必要となります。
大学でうまくいった生徒には、カウンセラーや教師など、支援やサポートをする人がいました」
大学生を対象とした研究調査なので、「高校」が大事になるわけですが、
ずっと小さなころから、
興味や情熱をもてることが見つかるように、いろいろなことに一緒にチャレンジする、
興味や情熱をもっていることがわかったら、さらに伸ばす、
親としてはそれらが一番大事なことだろうと私は思っています。
米ハーバード大学のニューロダイバーシティ、発達障害の学生事情
(チャーリー)