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大人になってからの自閉症診断は、幼少期の誤診が理由ではない

time 2022/01/13

この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。

大人になってからの自閉症診断は、幼少期の誤診が理由ではない
  • 自閉症が大人になってから診断される理由は?
  • 自閉症の人が子どもの頃に精神疾患と診断されない理由は?
  • 大人になってから自閉症が診断される人たちは、どのような経緯を経て診断を受ける可能性があるか?

大人になってから自閉症と診断される人のほとんどは、幼少期に精神疾患と診断されていないことが、新しい研究で明らかになりました。

この結果は、自閉症の人が後になってから判明する理由を、子どもの頃の誤診では説明できないことを示唆していると、この研究の責任者のカナダモントリオール大学精神医学のローラン・モトロン教授は言います。

これらの人々は、思春期を通じて自分の特性を隠してきたか、遅発性の特性を持っているか、自閉症に似た別の疾患を持っている可能性があると。

しかし、自閉症の診断基準は時代とともに変化しており、また、研究者たちが依拠したデータセットに穴があるため、この研究から確固たる結論を導き出すことは困難であると他の研究者の指摘もあります。

モトロン教授らの研究チームは、デンマークの国立病院システムに登録されているすべての人の人口統計学的および診断情報を含む大規模データベースであるデンマーク国立患者登録の中で、18歳以降に自閉症と診断された2199人の医療記録を調査しました。

17種類の精神疾患についての小児期の有病率は、自閉症でない人たち460798人より、自閉症成人の方が高かったことが本研究で示されました。
しかし、子どもや10代のころに他の疾患のいずれかと診断されていたのは、自閉症女性で39パーセント、自閉症男性で31パーセントのみでした。

この研究成果「Molecular Autism」誌に掲載されています。

この研究結果に関与していない米ワシントン大学精神医学のジョン・コンスタンティノ教授は、この研究結果は、これら自閉症の人たちの最高齢者が生まれてから自閉症の診断基準が数回変更されたことを反映しているもののように思えると述べています。

「彼らのデンマーク人グループが子どもだった頃は、誰も高機能自閉症とは診断することがありませんでした。
したがって、これらの観察は疫学的実証と見なすことができます」

さらに、この登録にはデンマークの病院システム以外のかかりつけ医や学校心理士などの他の臨床医によって自閉症の評価を受けた人々の情報が含まれていないかもしれないと、この研究に関与していない米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の精神医学・教育学のキャサリン・ロード教授は指摘しています。

「我々はしばしば、登録は神から送られた完璧なデータであると考えてしまいますが、それは違います」

また、自閉症に限らず、注意欠陥多動性障害(ADHD)、てんかん、知的障害など、通常は小児期に診断される疾患についてもも、成人になってから診断されることが多くなってきていると指摘しています。

結局のところ、自閉症の診断に関わる懸念は、その診断によってその人が救われるか、そうでないかに依るものだとロード教授もモトロン教授も言います。

モトロン教授らの研究チームは、子どもの頃から自閉症と診断されている人たちのグループと、大人になってから自閉症と診断された人たちとで、重要な点で違いがあるかどうかを今後、調査することを計画しています。

(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay

必要とする人に適切な支援が行われるために、正しく診断されることが求められます。

しかし結果論ですが、必要としない人であれば、幼い頃の診断はそう重要ではないかもしれません。

本人はそんなに困っていないのに、幼い頃のその診断のために、メリットを超えた変化を人生にもたらしてしまうこともあるでしょうから。

子どもの頃に診断されないのは社会にも原因。自閉症の女性

(チャーリー)


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