- 自閉症の人はなぜ自傷や自殺のリスクが高いのですか?
- どのようなプログラムや戦略が自閉症の人の自傷行為や自殺予防に効果的ですか?
- 自閉症の人に対する支援として何が求められますか?
自閉症の人は、自傷・自殺のリスクが有意に高まっています。
そのため、そのリスクを低減するためのプログラムが必要だと研究チームは述べています。
今回の研究では、1999年から2021年の間に5つのデータベースに投稿された、自閉症と自傷・自殺の関連性に関する31の研究を分析しました。
自閉症の子どもと大人では、自傷行為のリスクが3倍に増加し、大人の方がやや高いことがわかりました。
この”JAMA Network Open”に掲載された研究によれば、自閉症の人では自殺のリスクも同様に高いことがわかりました。
自閉症の人の自傷行為のリスクが高まる理由として、いくつかの要因が考えられると、この研究では述べられています。
自閉症の人の42パーセントが、手を叩いたり、自分で切ったり、髪を引っ張ったりといった自傷行為を行っています。
また、自傷行為と自殺の関連性も知られていると指摘されています。
さらに、自閉症の人の28パーセントが注意欠陥・多動性障害、20パーセントが不安障害、11パーセントがうつ病を併発していると推定されました。
「今回の研究結果は、自閉症の有病率が継続的に増加していること、
そして、自傷行為が多いことから、公衆衛生上、重要な意味を持ちます。
とくに、新型コロナウィルスに関連して、うつ病や不安障害、自殺の割合が高まっている時期には、さらに重要な意味を持ちます」
そう、この研究を行った米コロンビア大学の公衆衛生学の疫学教授であるグオファ・リ博士は言います。
「ASD(自閉症スペクトラム)患者の安全と幸福を確保するためには、共存する診断の影響を明らかにし、自閉症の人を対象とした傷害監視システムを開発し、効果的な予防戦略を実施することが必要です」
米国では、成人の約2パーセント(540万人)が自閉症をかかえています。
さらに、ここ数十年で自閉症と診断される子どもの数は増加しています。
今回の研究を共同して行ったコロンビア大学内科外科の救急医学の助教授、アシュレイ・ブランチャード博士はこう言います。
「今回わかったことは、自閉症の人の自傷行為のリスクを低減するために、ターゲットを絞った支援の必要性を強調するものです。
ASDの人が直面する無数の健康問題の中には、傷害による罹患率と死亡率の過剰なリスクがあります。
自閉症の人の自傷行為やその他の傷害を減少させるための支援が必要です」
(出典:米Medical Xpress)(画像:Pixabay)
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周りが変われば、この状況も変わるはずです。
しかし、悠長なことを言ってられません。
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(チャーリー)