- 早産が自閉症になる可能性を高める理由は何か?
- 早産児の早期評価と長期的なフォローアップには何が必要か?
- 未熟児と自閉症の関連性にはどんな性差があるか?
早産が自閉症になる可能性を高めることに関連していることが、これまでに行われたなかで最大規模の研究により明らかになりました。
この関連性は、認識されていない遺伝的または環境的要因ではなく、早産そのものが原因となっているようです。
今回の研究結果は、自閉症の早期発見と療育のために、早産児の早期評価と長期的なフォローアップが必要であることを示唆していると専門家は述べています。
今回の研究には参加していない米ラトガース大学の発達認知神経科学のエイプリル・バナシック教授はこう言います。
「早期の療育がその後の結果に大きな違いをもたらすことがわかっています。
より効果的な療育方法も増えてきています」
これまでの研究では、妊娠37週目までに生まれた早産児が自閉症になる確率は、正期産児に比べて約30パーセント高いとされています。
全世界での出生数の約11パーセントが早産です。
これらの赤ちゃんの95パーセント以上が最新の新生児医療を受けて生存しています。
「これまでの研究で、早産で生まれた子どもたちのほとんどが、神経発達障害やその他の慢性的な健康問題を抱えることなく、大人になっても生存していることがわかっています」
そう、今回の研究を行った米アイカーン医科大学マウントサイナイ校の家庭医療・地域医療部門のケイシー・クランプ教授は言います。
しかし、早産が自閉症の原因になっているのか、あるいは両方の疾患が遺伝的あるいは環境的な影響を共有しているのかについては、長い間、研究者の間で議論されてきました。
また、早産と自閉症の関連性には性差があるのか、あるいは早産の約3倍の頻度で見られる妊娠37週目と38週目の予定日前出産にも関連性があるのかどうかも不明でした。
今回の研究では、1973年から2013年の間にスウェーデンで生まれた400万人以上の人たちの国民健康保険と出生登録を精査してデータを分析しました。
「早産は、男女ともに自閉症の可能性の増加と有意に関連していました。
早産であればあるほど、自閉症の可能性が高くなることがわかったのです。
39~41週目に生まれた正期産の赤ちゃんでは、1.4パーセントが自閉症であることがわかっています。
これに対し、
妊娠22~27週目に生まれた赤ちゃんの約6パーセントが自閉症でした。
28~33週目に生まれた赤ちゃんは2.6パーセント、
34~36週目に生まれた赤ちゃんは1.9パーセント、
37~38週目に生まれた赤ちゃんは1.6パーセントでした」
今回の研究成果は、”Pediatrics”のオンライン版に掲載されています。
さらに、兄弟姉妹との比較から、未熟児と自閉症との関連性は、家族内の共通の遺伝的要因や環境的要因によって主に説明されるものではないことがわかりました。
むしろ、未熟児であること自体が、自閉症になる可能性をわずかに高めている可能性があります。
「自閉症の相対リスクは早産児の方が正期産児よりも有意に高くなっていましたが、絶対リスクは低いものです。
例えば、自閉症と診断された早産児の割合はわずか2.1パーセントです」
そう、クランプ教授は言います。
未熟児は、脳や神経系の炎症を介して自閉症の可能性を高める可能性があることをクランプ教授らの研究チームは示唆しています。
また、未熟児では、脳のさまざまな部位の連結性が変化していることが多く、このグループによく見られる神経発達障害の原因になっている可能性もあるとバナシック教授は言います。
このようなメカニズムが早産児や早生児の自閉症にどのように影響しているのかがわかれば、自閉症の原因全般に光を当てることができるかもしれないとも言います。
ランプ教授はこう言います。
「メカニズムの理解が深まれば、神経発達の重要な時期に介入すべき新しいターゲットが見つかる可能性があります」
今回の研究には参加していない、台湾の国立成功大学病院の小児科臨床のリウェン・チェン助教授は、今後の研究では出生前、周産期、出生後のデータを個別に収集して、新生児集中治療室での乳児の体験を分析することが必要であり、それによって自閉症に与える重要な影響を特定し、医療の質を向上させることができると述べています。
今回の研究は一国のデータに限られたものです。
クランプ教授はこう述べています。
「今回の結果は他の環境でも一般化できる可能性が高いと考えています。
しかし、可能であれば他の集団でも調査するべきです」
こうした関連があることは知りませんでした。
うちの子については遅いくらいでした。
効果的な早期療育につながるよう、ますますの研究が望まれます。
早産は自閉症と関連しない。11.5万の出産データ高度分析から
(チャーリー)