- 自閉症の子どもたちが人形に注目することができるのはなぜか?
- 人形が自閉症の子どもたちにとってなぜ有効な社会的ツールとなりうるのか?
- 自閉症の程度にかかわらず、どのようにしてすべての自閉症の子どもたちに人間の社会的な手掛かりを理解させることができるのか?
米イェール大学チャイルド・スタディ・センターの研究チームは、自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもたちの注意を人形が引きつけ、維持することができるという新しい研究結果を発表しました。
この研究は、Autism Research誌に掲載されています。
ASDの子どもたちが他の子どもたちと同様に人形に注目するという逸話を検証した初めての研究になります。
研究チームは、一連の実験において、色鮮やかな人形「バイオレット」と人間との活発なやりとりを描いたビデオを見たときの、自閉症の幼児の視覚的な注意パターンを、自閉症でない幼児を比較対象にし調べました。
その結果、バイオレットが話しているときの自閉症の子どもたちの注意パターンは、自閉症でない子どもたちと同様で、どちらの子どもたちもバイオレットの顔を見る時間が同じで、聞いている人よりも話している人形を強く好むこともわかりました。
「自閉症の子どもたちは、社会的パートナーに注意を払い、感情的に関わることが少ないため、多くの重要な学習機会や経験を得ることができません。
今回の研究では、自閉症の子どもは、対話相手が人間の場合には自閉症でない子どもよりも注意力が低いものの、対話相手が人形のバイオレットの場合には、ほぼ同じような注意力を発揮することがわかりました」
そう、本研究の共同執筆者のカタルジナ・シャワルスカと、イェール大学医学部児童精神医学の教授であり、国立衛生研究所自閉症センター・オブ・エクセレンスのイェール児童研究センターの所長であるエミリーフレイザービード教授は言います。
「今回の発見は、人形の注意力や感情面での優位性を明らかにしたもので、自閉症の子どもたちの療育を強化するために活用できることを期待しています」
今回の実験は、著名な人形師ジム・ヘンソンの娘であり、ジム・ヘンソン財団の理事長であるシェリル・ヘンソンと共同で行いました。
「シェリル・ヘンソンは、『The Muppet Show』でパペットビルダーを務め、1990年代には「Sesame Street」などで活躍してきました。
エール大学児童研究センターが、自閉症の子どもたちが人形をどのように見ているのかを探る初の臨床研究に興味を示してくれたとき、私は感激しました。
今回の研究結果は、私たちの体験談を学術的に裏付けるものであり、人形が自閉症の子どもたちが社会との関わりを深めるための強力なツールとなり得ることを示唆しており、とても興奮しています」
今回の研究では、参加者は暗い防音室でワイドスクリーンのLEDモニターの前に座り、ヘンソンとジム・ヘンソン財団のスタッフが研究者と協力して作成した86秒のビデオを見ました。
研究者は、子供たちがZという名前の女性と楽しく会話するバイオレットのビデオを見ている間、アイトラッカーソフトウェアを使って子どもたちの視覚的注意を観察しました。
ヴァイオレットは柔らかく、毛深く、カラフルです。
手や頭、口が動き、プロの人形師が声を当てています。
映像の中では、パペットと人間が交互に会話をしたり、ボールで遊んだりしています。
時折、カメラを覗き込むこともあります。
その結果、自閉症の子どもたちは、ビデオの中でZの顔をあまり見ていないことがわかりました。
自閉症の子どもたちは、そうでない子どもたちとは異なり、Zがヴァイオレットに話しかけている間、Zに対する好意は示しませんでした。
自閉症の子どもたちは、Zの顔ではなく、Zの体やボールを見ることが多くありました。
対照的に、バイオレットは自閉症の子どもたちの間で、そうでない子どもたちと同様の注意のパターンを引き出しました。
バイオレットが話しているときの視覚パターンは、自閉症でない子どもたちとほぼ変わらず、どちらのグループも、聞いている人間よりも話している人形のほうを好む傾向が顕著でした。
そして重要なのは、人形による注意喚起の効果が、自閉症の症状が軽くても重くても同じであることがわかったことです。
今回の研究結果から、人形は自閉症の子どもたちに顕著な社会的合図を教え、社会的交流を促す入口になり得ることが示唆されました。
自閉症の程度にかかわらず、すべての自閉症の子どもたちに、人間の社会的な手掛かりを理解することを目的とした療育に利用できる可能性もあるとシャワルスカは述べています。
うちの子も小さかった頃は、そうだった気はします。
ただ、大きくなるにつれて私や人間もよく見てくれるようになってきました。
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(チャーリー)