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中国での自閉症の人たちへの支援事情。父親は棒でしつけていた

time 2021/06/30

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中国での自閉症の人たちへの支援事情。父親は棒でしつけていた
  • 自閉症の子どもを支援する最初の組織はどこですか?
  • 中国で自閉症の子どもを支援するための公的資金や補助金はどのくらいありますか?
  • 自閉症の子どもたちの教育や改善にはどんな挑戦が伴いますか?

北京の病院のカウンターに置かれた、自閉症の子どもたちへの指導方法が書かれていた台湾のパンフレットを目にしました。
これがきっかけに、ティン・フイピンは1993年に中国初の支援組織の「北京星雨教育研究所」を設立しました。

ティンの息子は、言語や非言語によるコミュニケーションや社会的相互作用に大きな影響を与える発達障害である自閉症と診断されていました。
自閉症の子どもたちを支援する組織がないため、ティンは自分の学校を開くことを決意しました。

この学校では、親が家庭で子どもを教える方法を学び、生徒が社会性、運動調整能力、作業能力など、自分のことは自分でできるようになることを支援することに重点を置いています。

同校の教育研究責任者であるウ・リアンシェンによれば、自閉症の子どもたちを対象とした支援組織は、知る限りでは北京星雨教育研究所が中国で初めてだといいいます。

心身に障害を持つ人を支援する団体の多くは、リハビリに成功したクライアントの例を挙げたがりますが、
ウは、学校が直面している課題を明らかにするために、失敗した事例を紹介したいと考えています。

「彼は両親と一緒に北京に来て、私たちのトレーニングを受けました。
それから数年後の2015年、私は広西省で彼らに会いました。
私が彼を見たとき、彼の両手は後ろで縛られていて、彼の両耳は自傷行為で損傷していました。
彼の父親は彼をしつけるために棒を持っていました」

ウによれば、生徒たちはセンターで成長することが多いのですが、センターを出て数年後には退化してしまう生徒も少なくないそうです。

「中国には自閉症の人を支援するシステムがありません。
自閉症の人の中には、パターンを思い出す能力に長けているなど、特殊な才能やサヴァン能力を持ち、芸術家や音楽家として名を馳せている人もいます。
しかし、このような特殊なケースに焦点を当てても、
自閉症の人たちのリハビリにはまったく役立ちません」

そうウは言います。

「大多数の自閉症患者は、普通の生活を送る上で大きな障害に直面しています」

中国で初めて自閉症の診断が下されたのは1982年のことです。
Wucailu Autism Research Institute(WARI)の2019年の報告書によると、中国では143人に一人の子どもが自閉症をかかえています。
これは、世界保健機関(WHO)の数字、世界では160人に一人の子どもが自閉症をかかえている、よりも高い数値となっています。
WARIの報告書によると、中国には1000万人以上の自閉症の人がいます。
そのうち200万人以上が12歳以下であることが示唆されています。

症状の軽い自閉症の子どもたちの約15パーセントは、公的資金で運営されている学校で学んでいると報告書は続けています。
学校に通っていない子どもたちには、地域の豊かさに応じて年間2万〜3万6000元(約34万円〜61万円)の政府補助金が支給されます。

この補助金は、民間や非営利団体が提供するサービスに支払われるもので、例えば、北京星雨教育研究所では、12歳以下の子どもを対象とした1ヶ月間の終日レッスンが17600元(約30万円)となっています。

中国の補助金は、先進国の補助金に比べてはるかに低いとウは言います。

「アメリカのカンザス州に姉妹校があります。
そこは私費で運営されています。
年間28万ドル(約2800万円)の授業料を徴収していますが、そのすべてが税金で賄われています。

北京星雨教育研究所では、12歳から18歳までの子どを対象とした1日コースの月額コストは10600元(約18万円)ですが、私たちは月に3600元(約6万円)しかもらっていません。
ほとんどを寄付金で賄っています。
そのため、生徒は6人までしか受け入れられません」

北京市内にある3つの学校に32人の教師を配置していますが、そのうち1つは政府の資金、1つは寄付金、1つは商業施設から借りています。

中国の自閉症患者のために設立された同様のセンターの多くは、北京星雨教育研究所のモデルを模倣していると呉は言います。
中国の慈善事業に関する政策は複雑で、北京星雨教育研究所は2017年まで非営利団体として登録されておらず、それまでは寄付を募ることもできませんでした。

ウによれば、現在、北京には自閉症の人々を支援する官民の組織が約200あります。

ルオ・ペンが2015年に設立した「ボランティアユニオン」は、北京、上海、南京のアートセンターで訓練を受けた自閉症の人たちがデザインしたTシャツを販売し、売上の一部を自閉症のデザイナーに還元しています。

自閉症の人たちのためにボランティア活動をしていたルオは、もっと彼らを助ける方法を見つけたいと思っていました。

「自閉症の人たちが自立できるようにしたいのです。
彼らの多くは正規の学校で学んだことがありません。
自閉症の人たちは、学校で勉強したことがない人が多いので、仕事に就くのはとても難しいのです」

ルオは、法律で定められている起業資金が少ないことから、非営利組織ではなく営利企業として設立しました。
ピアニストのラン・ランや映画界のスーパースター、ホァン・ボーなどの中国の有名人をTシャツの宣伝に起用したおかげで、彼の会社は2019年に収支が黒字になりました。

「将来的には、エルメスなどの高級ブランドとコラボレーションして、自閉症のアーティストたちの作品をさらに広めていきたいですね」

学習障害のある子どもたちを対象とした教育機関「リウ・エデュケーション 」では、生徒のほとんどが自閉症の子どもたちだと、北京在住の教育者ユキ・リーは言います。

「中国、台湾、アメリカに拠点を置くリウ・エデュケーションでは、視覚、聴覚、感覚運動のスキルを磨くために、さまざまなトレーニング方法を用いて子どもたちを支援しています。
早期に療育を始めることで、自閉症の症状を克服することができます」

11歳のアイザック・ツェは2015年からリウ・エデュケーションで学んでいます。
自閉症の英才教育を受けた彼は、車の絵を描くことに情熱を傾けており、4月には北京の大美中央広場で21枚の絵を集めた初の展覧会が開催されました。
母親のコニー・ツェによると、アイザックは子どもの頃から車に夢中だったそうです。

「外では車のホイールばかり見ていました。
4歳の時には攻撃的な行動を見せ、2歳児の発達能力しかありませんでした。
私は2016年に仕事を辞めて、家で彼を鍛えるのを手伝いました。
彼は中国の普通の高校で勉強するのが好きではないでしょうから、将来的には海外の芸術大学に行かせたいと思っています」

リウ・エデュケーションのような民間企業は、自閉症の人に対するサービス提供の大きなギャップを埋めるのに役立っていますが、そのような余裕のない人は政府に頼らざるを得ず、政府は自閉症の人への支援をほとんどしていないとウは言います。

「北京星雨教育研究所は、民間企業と同じように税金を払っています。
もっと税金が免除されるべきです」

また、コロナウイルス感染拡大以降、中国の国際関係が悪化しているため、米国のフォード財団などの海外団体からの寄付金が届かなくなりました。

「年間数百万元の寄付は、スタッフの人件費に大いに役立っていました。
今は、スタッフの給料には使えない地元の寄付に頼るしかありません」

ウは、自閉症の人たちのために、より多くの公共教育と法的保護の強化を求めています。

「2016年、広州のあるセンターでは自閉症を『2年以内に治す』ことができると謳っていました。
その費用は20万元(約340万円)を超えていました。
そしてある日、厚手の服を着て20キロメートルを走らされた子どもが亡くなりました。
中国の多くの親は、自閉症の子どもを助ける方法を知らないのです」

中国には障害者差別を抑制するための法律がありますが、施行は不十分だともウは言います。

「中国の学校が自閉症の子どもの入学を拒否しても、それに対して親ができることはほとんどありません」

(出典・画像:香港South China Morning Post

適切な公的支援がなされることを願っています。

そして、そうした中で支援に取り組まれている方々を尊敬します。

過ごしやすくなりますように。

比べれば、日本での手厚さは本当にありがたく、心から感謝します。

発達障害の子へ母が始めた取り組みが拡大。アリババから支援も

(チャーリー)


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