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「バイリンガル」が自閉症の子どもたちの困難の克服を助ける

time 2021/06/06

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

「バイリンガル」が自閉症の子どもたちの困難の克服を助ける
  • 自閉症スペクトラム障害の子どもにはバイリンガルの環境が良いのでしょうか?
  • バイリンガルは自閉症児の社会的コミュニケーション能力にどのように影響しますか?
  • 自閉症児にバイリンガル教育を提供することにはどんなメリットがありますか?

自閉症スペクトラム障害は、最も一般的な発達障害の一つです。
特に社会的相互作用に影響を及ぼし、他人の視点、信念、欲求、感情を理解することに困難をかかえます。

自閉症の子を持つバイリンガルの家族は、子どものコミュニケーション能力の発達をこれ以上妨げないために、片方の母国語を使わないようにする傾向があります。
また、それを推奨されることもあります。

スイスのジュネーブ大学の研究者は、ギリシャのテッサリー大学および英ケンブリッジ大学と共同で、自閉症の子の多くの問題の原因となっている実行機能の障害は、バイリンガルによって部分的に補うことができることを明らかにしました。

この研究成果は”Autism Research”に掲載されています。

自閉症スペクトラムは、幼児期に診断され、特に社会性やコミュニケーション能力に影響を与えます。
この研究を行った、ジュネーブ大学芸術学部言語学科のステファニー・ダールマン研究員はこう言います。

「自閉症スペクトラムはスペクトラムであるがゆえに、人によって症状が大きく異なります。
しかし、自閉症の子どもたちは共通して、対話者の立場に自分自身を配置するのが難しいということです。
そのために、自閉症は、他者の信念、感情、意図、願望を理解するという心の理論に関係するすべてのことだけでなく、注意力を含む実行機能にも影響を及ぼすことが多いのです」

バイリンガルに関する研究では、自閉症でなくても複数の言語を使用する子どもは一つだけの言語を話す子どもに比べて心の理論や実行機能の能力が高いことがわかっています。

「バイリンガルは、自閉症の子どもが困難を抱えている部分にこそ効果をもたらすようです。
そこで私たちは、バイリンガルの自閉症の子どももいつも二つの言語を使うことによって、神経発達障害の困難さを和らげることができているのではないかと考えました」

この仮説を検証するために、ジュネーブ大学、テッサリー大学、ケンブリッジ大学の研究者たちは、6歳から15歳の自閉症の子ども103人を追跡調査しました。
そのうちの43人がバイリンガルです。

テッサリー大学医学部の研究者で、この研究の共著者であるエレニ・ペリステリはこう言います。

「バイリンガルであることが社会的コミュニケーション能力に及ぼす実際の影響を観察するために、年齢、性別、自閉症の強さに応じてグループ分けを行いました」

参加した子どもたちは、心の理論と実行機能のスキルを評価するために、さまざまなタスクを実行しました。
その結果、バイリンガルの子どもたちは、一つだけの言語を話す子どもたちよりも高いスコアを出しました。

「心の理論に関する課題、すなわち、相手の立場に立って行動を理解する能力について、バイリンガルの子どもたちは76パーセントの正答率を示しました。
それに対し、一つだけの言語を話す子どもたちは57%でした」

実行機能についても同様で、バイリンガルの子どもたちの正答率のスコアは一つだけの言語を話す子どもたちの2倍となっていました。

しかし、なぜこのような違いがあるのでしょうか?

「バイリンガルになるためには、まず心の理論に直結するスキルを身につけなければなりません。
つまり、常に他人の知識を気にかけていなければならないのです。
自分が話している相手は、ギリシャ語を話すのか、アルバニア語を話すのか。自分が話している相手はギリシャ語を話すのか、それともアルバニア語を話すのか、自分は何語で話すべきなのか。

そして第二段階では、子どもは実行機能を使って、一つの言語に注意を向け、二つ目の言語を我慢します」

これは脳の体操であり、自閉症の症状に正確に作用します。

「自閉症スペクトラムの子どもたちにとって、バイリンガルが非常に有益であることは、私たちの評価からも明らかです」

とダールマン研究員は言います。

参加者が育った社会経済的レベルが結果に影響していないことを確認するために、社会経済的レベルも記録したところ、バイリンガルの子どもたちは、ほとんどの場合、一つだけの言語を話す子どもたちよりも低い社会経済的環境にいたことがわかりました。

「社会経済的に不利な環境にいても、バイリンガルの子どもには心の理論や実行機能の面でメリットがあることが確認できました」

この研究成果は、自閉症と診断された子どもたちのケアにとって重要です。

「実際、この発達障害は言語習得に影響を及ぼすことが多いため、バイリンガルの家族は、学習プロセスを悪化させないように、どちらかの言語の使用をあきらめる傾向があります。
しかし、現在では、バイリンガルであることは、自閉症児に困難をもたらすどころか、逆に自閉症児が障害のいくつかの側面を克服するのに役立つ、一種の自然療法となることが明らかです」

(出典:スイス ジュネーブ大学)(画像:Pixabay

日本では少し身近なことではないかと思いますが、

伝える手段が多くなると、それに助けられるということでしょうか。

バイリンガルでなくとも、役に立つことにつながる研究なのだろうと思います。

発達障害の子たちのバイリンガルであるメリットと直面する問題

(チャーリー)


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