- 自閉症やアスペルガー症候群を持つビジネスリーダーが自らを公表することで、ビジネス界での自閉症への対応は変わるのか?
- 職場での自閉症やアスペルガー症候群への理解が深まると、どんな利点が生まれるのか?
- 自閉症やアスペルガー症候群を持つ人々の個性や能力をどう活かすべきか?
イーロン・マスクが、自分がアスペルガー症候群であることを発言したことは、ビジネス界にとってどのような意味をもつでしょうか。
米国国立衛生研究所によれば、さまざまな程度の言語およびコミュニケーション能力の障害に加えて、反復的または制限的な思考および行動のパターンをもつことが、アスペルガーなどを含む、自閉症と診断される特徴となります。
2歳までにアイコンタクトを避けたり、言葉の発達の遅れなどの症状が現れる傾向がある「発達障害」としています。
米チャップマン大学の”Journal of Business and Management”誌の編集者であるクリスティーナ・M・ジャンナントニオとエイミー E. ハーリーハンソンはイーロン・マスクの発言によって、職場での自閉症への対応が変わる可能性があると同時に、自閉症の人やその人が目指す職種についての認識を変えるきっかけになると述べています。
2013年、アメリカ精神医学会は、アスペルガー症候群を含む4つに分かれていたカテゴリーの自閉症診断を、自閉症スペクトラム障害という単一の包括的診断に統合しました。
コメディアンのダン・エイクロイド、映画監督のティム・バートン、歌手のスーザン・ボイルなど、一部の著名人は自閉症スペクトラムであることを公表しています。
しかし、ビジネスリーダーで公表している人はほとんどいませんでした。
仕事に関して言えば、アスペルガー症候群の従業員は、希望するよりも少ない労働時間しか与えられないことが多いとかんがえられています。
また、アスペルガー症候群の成人は、一般の人に比べてパートタイムで働く傾向が強いという研究結果もあります。
「シリコンバレーでは、より成功している起業家の多くが、軽度のアスペルガー症候群をかかえていると考えます。
自閉症は、イノベーションや優れた企業を生み出す上でプラスに働くのです」
そう、テック業界の著名な投資家であるピーター・ティールは2015年にインタビューで答えています。
自閉症の人たちは社会的な交流に苦労することがあるため、自閉症は困難な状況だと考える人もいます。
しかし、何年も前から、ハイテク業界で最も成功している人たちの中には、自閉症、アスペルガーと共存して仕事をし、その恩恵を受けている人たちがいるといわれてきました。
ビジネス心理学者のメラニー・カッツマンはCNN Businessの取材に応じこう言っています。
「神経多様性を認識し、受け入れることで、創造性に富んだ協力的なチームを作ることができます。
自閉症、失読症、ADHD、OCDなどを病理学的にとらえるのではなく、これらの素質をいかにスーパーパワーとしてとらえるかに焦点をあてる必要があります」
カッツマンは、そのような個人情報を安心して共有し、個人の責任を負えるような職場環境をつくることの重要性を強調しました。
イーロン・マスクは、アイコンタクトをとらないことについてこう言及しています。
「自分自身のプレッシャーを軽減し、嘲笑される可能性を減らしました」
アスペルガー症候群の人に共通するコミュニケーション行動への理解を訴えました。
こうしたことを、職場で考慮することが重要です。
セラピストでチャップマン大学助教授のエイミー・ジェーン・グリフィスはこう言います。
「自閉症の人たちについて、何が問題なのか、どうすれば解決できるのか 、ということよりも、
自閉症の人たちにはどんな才能があるのか、どうすれば彼らがもつ、違う視点や考え方を、活かすことができるのかについて考えるべきだと思います。
ビジネスの場では偏見がいまだに根強く残っています。
偏見がなくなり、自分の違いについて話すことができるようになれば、より多様な考え方や異なるアプローチをもつ人たちが活躍できます」
(出典:米BOLLY INSIDE)(画像:Pixabay)
イーロン・マスクのような方がそう発表すると、発達障害、自閉症の方や関わる方にポジティブな影響をもたらしてくれるものと思います。
競争力が必要な業界ほど、必要とされています。
(チャーリー)