- セミの鳴き声が感覚過敏や発達障害の人にどのような影響を与えるのか?
- セミの騒音に敏感な子どもや成人は、どのような対策を取ることができるのか?
- 騒音に敏感な子どもや発達障害の人が外出する際に役立つシンプルな解決策は何か?
セミが出てくる時期になると、その鳴き声の大きさは大変なものです。
米シンシナティ小児病院メディカルセンターの聴覚学のシニアディレクターであるイアン・ウィンドミル博士はこう言います。
「黒板をひっかく爪の音ほどではありませんが、とにかく耳につきます。
そして、それから気をそらすことができなくなります」
ウィンドミル博士によれば、セミの鳴き声は約100デシベルにもなるといいます。
人間の一般的な声は50〜60デシベル、叫び声は70〜75デシベル程度です。
セミの鳴き声は誰にとっても迷惑なものですが、発達障害の人や聴覚過敏の人にとっては、感情的または身体的な反応を引き起こすまでの可能性があります。
自閉症の人の支援団体の創設者であるデイビッド・カルヒはこう言います。
「感覚的な問題を抱えている人や、発達障害である自閉症スペクトラムの人にとってセミの声は、頭のなかで最大の音量となり、常に頭の中を駆け巡り、不安をもたらします」
カルヒは、感覚障害を持つ子どもの世話をすることがどのようなものか、身をもって知っています。
カルヒの16歳の息子、パーカーは自閉症で、幼い頃から騒音に非常に敏感でした。
息子を助けるためにカルヒが見つけた解決策は、地元のホームセンターにありました。
「工事作業などで利用する、イヤーマフがありました。
それは、厚ければ厚いほど騒音を抑えます。
発泡スチロール製の耳栓も良いです」
ウィンドミル博士によれば、片頭痛のある子どもや難聴の人(すでに耳鳴りがしている)もセミの鳴き声に強く反応する可能性があるといいます。
また、幼い子どもも聴覚が研ぎ澄まされているために、影響を受けやすいといいます。
カルヒは、このような敏感な人たちには、屋内にいることや聴覚保護具を着用するなどして、影響を最小限に抑えるように勧めています。
そして、準備をしておくことが一番だと言います。
カルヒは息子のパーカーに、準備としてYouTubeでセミの動画を見せています。
「何度も何度も見せて、『そんなに怖がらなくてもいいよ』と言っています。
これは、幼い子どもたちだけではありません。若者たちにも必要なことです」
ウィンドミル博士は、騒音に敏感な子どもの感情的な反応や大げさな反応に注意してほしいといいます。
例えば、パレードでバンドが行進してくると反応するような子どもは、セミにも反応するかもしれません。
そうした子どもが外出するときは、シンプルな解決策が一番だと思います。
「耳を手でふさぐのが、子どもにとって一番簡単で有効な対策です」
なお、セミの鳴き声そのものが聴覚障害を引き起こすことはないだろうと指摘します。
「セミの鳴き声が聴力に影響を与えることはないと思います」
なお、セミの大きさや音、数の多さによって、大人でも不安を感じることは当然です。
昔に比べると、場所によるのは当然ですが、セミの鳴き声は少なくなった気がします。
それでも、大人になった今のほうがセミの鳴き声にはよくビックリさせられます。虫も苦手になりましたし。
今まで注意していませんでしたが、感覚に敏感な方を大きく悩ます存在であることは想像できます。
うちの子がかかえている困難にしても、まだまだ気づいていないことが多くあるのだろうと思います。
(チャーリー)