自閉症スペクトラム(ASD)の人の脳内の神経活動を調べたところ、自閉症の人は顔の表情を認識し神経信号にすることはできていて、その点において自閉症でない人との違いはありませんでした。
自閉症の人が顔の表情を読み取るのが難しいのは、脳がそもそも顔の表情を読み取れないわけでなく、顔の感情情報に関する神経信号を翻訳する際に問題があるからだと考えられます。
この研究成果は”Biological Psychiatry:Cognitive Neuroscience and Neuroimaging”のオンライン版に掲載されています。
米ストーニー・ブルック大学心理学部の心理学精神医学・小児科准教授であるマシュー・D・ラーナー博士らによる研究で、脳波イメージングにより、自閉症についてこれまで明確にされていなかった基本的な疑問を検証しました。
ラーナー博士によれば、感情認識の問題はそもそ表情が脳内で認識されていないことが原因なのか、それとも正確に認識されコード化されているのに展開されていないだけなのか、のどちらかだと考えられます。
「今回の研究結果から、自閉症患者の多くが顔の感情を読み取れない理由は、コード化されているのに展開されていない、後者の可能性が高いと考えられます。
マスク着用が一般的になり、日常生活で顔の感情情報を得ることが少なくなった現在、いつ、どのような人がどのように表情を読み取ることに苦労しているのかを理解することは、特に重要になりました」
今回の研究では、全国の年齢の異なる192名の人を対象に、多くの顔の感情を見たときの神経信号を記録しました。
研究チームは、「Deep Convolutional Neural Networks(深層畳み込みニューラルネットワーク)」と呼ばれる機械学習アプローチを用いて、顔の表情を分類しました。
この機械学習アプローチには、自閉症の人とそうでない人が顔を見ているときの脳波活動を調べ、どのような感情を見たのかを解読するアルゴリズムが含まれています。
このアルゴリズムは、個々の顔に対して、その人がどのような感情を見ていたのかを示すことができました。
今回の研究成果は、自閉症の人がどのように感情を処理するのかを理解する。
また、自閉症の人が他人の顔を見て感情を評価することを改善するための新しいタイプの療育方法を開発する上で、大きな意味を持つ。
そう研究チームは述べています。
「自閉症の人が表情を認識できないことを補うため療育方法や、現在、表情を認識するツールがあります。
しかし、今回の研究結果は、このようなアプローチは役に立たない可能性を示唆しています。
自閉症の人は、表情の違いなどの認識は、そうでない人と同じくできていると考えられるからです。
理解や反応に焦点を当てるべきでしょう」
本研究は、カナダトレント大学との共同研究で、ストーニー・ブルック大学の先端計算科学研究所とSeaWulfコンピューティングシステムを利用して、画像処理とデータ収集を行いました。
(出典:米ストーニー・ブルック大学)(画像:Pixabay)
最近、うちの子は家中にあるものを持ってきては、どこかに置きます。
風呂場においてあるシャンプーを食卓に持ってきたり等。
数も多く、まったく片付けることがないので、もとにあったところに戻すようにしかります。
そのときに私が感じるのは、
「私が怒っていることはうちの子はわかっていているものの、ただ、どう反応、どういう顔をしていいのかわからなくて困っている」
ということです。
少し申し訳なさそう顔で、あたふたしているように思います。
なので、叱っている一方で、通じている感じはうれしく思います。
発達障害、自閉症の人は適切なときに適切な表情を見せるのが困難
(チャーリー)