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自閉症の子の新しい評価方法による研究。80%が成長していた

time 2021/04/03

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自閉症の子の新しい評価方法による研究。80%が成長していた

カナダにあるThe Hospital for Sick Children (SickKids)とCentre for Addiction and Mental Health (CAMH)が実施した世界最大規模の研究によれば、自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもたちが前向きに成長するケースがこれまで考えられていたよりも多いことが示唆されます。

自閉症スペクトラム障害は、コミュニケーション、社会的理解、行動などに問題が生じる発達障害です。
カナダでは100人に1人がASDの可能性があります。

“JAMA Open”誌に掲載された研究では、ASDと診断された子どもたちの症状評価に「得意なこと」を組み入れたアプローチを適用し、コミュニケーション、社会性、日常生活動作、情緒的健康(内在化と外在化)の5つの重要な発達健康領域における参加者の習熟度(能力のレベル)と成長(時間経過による改善)を測定しました。

この研究では、80パーセントの子どもが5つの領域のうち少なくとも1つの領域で成長や熟達を見せ、23パーセントの子どもが幼少期の半ばまでに4つ以上の領域で順調に成長していることもわかりました。

この研究では、良い結果 の定義を「うまくいっている」としました。

「ほとんどのASDの子どもたちが、何らかの基準で10歳までにうまくいっていることがわかりました。
勇気づけられました。
ASDの症状や認知能力など、従来の自閉症の診断基準とは異なる基準で子どもたちの成長を追跡することで、自閉症の分野における進歩の概念をより包括的に見直すことができました」

そう、この研究を行ったピーター・サットマリ博士(SickKidsの精神科医長兼神経科学・メンタルヘルス担当上級研究員、SickKid、CAMH、加トロント大学の児童・青少年メンタルヘルス共同研究チーム長)は言います。

「結果を特定することは、終着点のように思わせます。
しかし、「うまくいっている」ことは、自閉症とともに歩む人生の特定の時点での個人の状況に関係します。
自閉症の子どもたちにとっては、これからの旅の始まりでしかないのですから、それは重要なことです」

ストレングス・ベースのアプローチは、「うまくいっている」ことをより包括的に捉えます

これまでの研究では、ASDの人の知的発達や技能発達の障害に焦点が当てられており、カナダの小児科領域ではそうした研究はあまり行われていませんでした。

今回、研究チームは、カナダ国内のクリニックでASDと診断された272人の子どもたち、2歳から10歳まで、つまり小児期の半ばまで追跡調査しました。
この年齢は、子どもたちが自律性を高め、社会性や学業への要求が高まる時期として注目されています。

ストレングス・ベースのアプローチの特徴は、成長を測定に用いることで、個々の子どもがある分野で向上したかどうかを、幼い頃の自分と比較することができることです。

今回の研究を共同で行った、SickKidsの精神科リサーチアソシエイトであるキャサリン・コスト博士はこう言います。

「できないことを測定するのではなく、成長とできることに注目するシステムは、
新しいスキルや人生の発達段階をサポートする、
個性的な子どもたちを成長させるための基盤になります」

今回の研究では、世帯収入、親の対処、家族の機能(家族間の積極的なコミュニケーションやサポートなど)といった家族の背景にある要因についても調査しました。

その結果、世帯収入が高く、家族機能が良好であることは、良好な結果をもたらすいくつかの側面において重要な予測因子であることが示されました。
つまり、適切な収入と家族機能が良好であることが、ASDの子どもの転帰の改善に役立つ可能性を示唆しています。

「世帯収入や家族の機能といった背景因子は、ASDの子どもたちが成長していく社会的背景に関係することが想像されます」

コスト博士は、自閉症の子どもたちを対象にした、社会的・環境的要因が子どもの発達に与える影響についての研究はほとんどなかったと言います。

サットマリ博士は今回の研究についてこう言います。

「自閉症の診断を強みに基づいて捉えることは、将来的に子どもたち一人一人に合った療育方法を開発するための、より柔軟なアプローチを支援することにつながります。

そして、上手くいく方法は一つではありませんが、
今回の研究は、家族により多くの収入源を提供したり、より早い段階で家族に別の治療計画を提供したりするなど、どのような種類の具体的な支援をすればよいか、より多くのASDの子どもたちを長期的にうまくいくようにするる研究の道を開くものとなります」

今回の研究チームは、ダルハウジー大学、マギル大学、マクマスター大学、サイモン・フレーザー大学、テルアビブ大学、アルバータ大学、ブリティッシュコロンビア大学、オタワ大学、トロント大学の研究者から構成されています。
今後の研究では、自閉症の青年の療育の効果に焦点を当て、効果の定義や測定方法に自閉症の青年自身の視点をさらに取り入れて取り組む予定です。

Centre for Addiction and Mental Health (CAMH)は、カナダ最大のメンタルヘルスとアディクションの教育機関であり、この分野で世界をリードする研究センターです。

(出典:カナダcamh)(画像:Pixabay

現時点で他の子と比べて「できない」ことに注目するよりも、その子の過去に比べて「できる」ようになったことに注目するほうが、これからの成長に貢献するものと私も思います。

そして一緒にそれを笑顔で喜べば、発達や成長よりも、もっと長期的なスパンとなる人生の幸せにも。

障害のあるなしも関係なく。

発達障害の人たちのできないことでなく、できることに注目する

(チャーリー)


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