- 自閉症は、すぐにわかるような行動や姿をしているという誤解がある?
- 自閉症の人は個性的で、一般化できないとされている?
- アイデンティティ・ファーストと人称優先の言葉、どちらが適切か意見が分かれている?
2020年、米国疾病管理予防センターは54人に一人の子どもが自閉症スペクトラム障害(ASD)という推定を発表しました。
自閉症は発達障害の一つです。
うつ病や不安神経症のような精神疾患ではありません。
生涯を通じてかかえる状態であることを考えると少なくない人口となります。
TikTokのクリエイターであるペイジ・レイルは、自閉症の人たちに対する意識を高めようと活動しています。
「自閉症は、私という人間のあらゆる面に影響を与えるものです」
自閉症についてよくある誤解は、自閉症であることがすぐにわかるような行動や姿をしているというものです。
しかし、実際にはそうではありません。
米ロチェスター工科大学(RIT)のスペクトラムサポートコーチのであるナタリー・ボイス・パーディーは、生徒一人ひとりのユニークさについてこう説明します。
「一人の自閉症の人を知っていても、自閉症のすべての人についてわかったわけではありません。
一般化することはできないのです。
共通点はありますが、一人一人異なります。ニーズも違います」
自閉症を「高機能」(あまり支援を必要としない)と「低機能」(より多くの支援を必要とする)のどちらかの端に該当する直線と考えるのでは適当でありません。
色がそれぞれ異なる、色鉛筆のように考えてみてください。
自閉症の人の中には、社会的スキルが原因で他人との交流が困難になるような症状を持つ人もいるでしょう。
一方で、社会的スキルに関してはそれほどサポートを必要としないものの、整理整頓やスケジュール管理の面でサポートが必要な自閉症の人もいるかもしれません。
自閉症の人は、それぞれの面で非常に個性的です。
自分をどのように認識しているかに至るまで、まず第一にその人を理解することが大切です」
自閉症をかかえる人に対して、偏見や多くの誤解があります。
最も理解すべきことは、自閉症は誰かがスイッチを入れたり切ったりできるものではないということです。
自閉症はその人にとって永遠のものであり、世界との関わり方に不可欠なものです。
「アイデンティティ・ファースト」
それは、自閉症の人を識別する際に、まずその障害を識別するという概念です。
これは、自閉症であることが劣った性質ではないという考えを浸透させるコンセプトです。
「自閉症は私についているものではありません。
自閉症であることは私であることなのです」
そう、レイルはアイデンティティ・ファーストという言葉を使う理由を説明しています。
一方で、自閉症の人をまず人として認識する、人称優先の言葉もあります。
そのコンセプトは、何よりもまず、感情や情緒を持った人に話しかけていることを認識しようとするものです。
障害がその人を定義するわけではありません。
自閉症の「人」と自閉症である「状態」を、同一のものと考えるか別のものと考えるか。
自閉症の人によって、どちらのコンセプトを好むか意見が割れ、議論するところとなっています。
例えば、RITの生物医学工学を専攻している3年生のエリザベス・マシューズは、幼い頃に自閉症と診断されました。彼らは、主に「アイデンティティ・ファースト」で自閉症の人を理解します。
「私にとっては、その方が(心地よく)感じられます。
しかし最終的には、その自閉症の人がどちらを好むかによります。
どちらが好きなのかシンプルに聞くのが一番です。
人によって感じ方が違いますし、どのように見られたいか、どのように識別されたいか、それぞれの人の意見を尊重するほうがいいでしょう」
RITでは、自閉症の学生を支援するためのプログラムを提供しています。
それぞれのニーズに合わせて、各生徒に時間を設け、毎週コーチがつきます。
「その人に合わせて個別に対応しています。
勉強だけではなく、包括的な支援を行います」
そうスペクトラムサポートコーチのボイス・パーディーは言います。
スペクトラムサポートコーチは、6名の専任スタッフと数名の大学院生で構成されています。
大学生活を送る上で、自閉症の学生を包括的にサポートする支援体制となっています。
「毎週、ミーティングを行い、自分の目標を設定しています。
とても良いサポートシステムだと思います」
そう、自閉症のマシューズは語ります。
スペクトラムサポートの支援を受けるには、学生課で申請書を作成するだけです。
「RITは、非常に多様性に富んだ生徒たちを受け入れる態勢が整っています。
自分には居場所がないと感じることはありません」
(出典:米ロチェスター工科大学REPOTER)(画像:米ロチェスター工科大学YouTube)
発達障害、自閉症といっても、それぞれの方ごとに違います。そして、そのご本人の捉え方や考え方も。
一人ひとりを尊重する必要があります。
障害に関わらず、誰にでも求められることだと思います。
(チャーリー)