自閉症スペクトラム障害をかかえるだけでなく言葉を話すことがない子どもたちを支援する技術を米パデュー大学では開発しています。
新型コロナウィルス感染拡大のために、学校や診療所をリモートで利用しなければならなくなった今、その技術が世界中の家族の役に立っています。
パデュー大学が開発した、SPEAKall! アプリケーションはiPadなどで利用できる、コミュニケーションボードと言語学習プラットフォームです。
言葉とイメージの関係を子どもたちは学べます。
このアプリケーションでは、生徒がデジタルカードを選んでスピーチバーに移動させると、アプリケーションが一連の単語を一語ずつ読み上げます。
自閉症の子どもたちは、単語の発音を聞くことで、自分の声でもその単語を言おうとするようになります。
アプリのユーザー、介護者、医師が、自分の写真や画像をアプリケーションにアップロードし、録音した音声やiPadの人工音声と組み合わせることで、その自閉症の子のニーズにあわせてカスタマイズして利用できます。
自閉症スペクトラム障害をかかえる、米国では200万人以上のうち、言葉を話すことがない、ほとんどない人は半数に上ります。
そうした人たちの日常生活で必要となるコミュニケーションに、このような技術が必要とされています。
このアプリを最初に開発した、これまでパデュー大学の言語聴覚教育研究所に勤めていた、現在は独ポツダム大学の認知・情緒障害学科のオリバー・ワンダ教授兼学科長はこう言います。
「自閉症の子と多くの家族が、コロナ禍で療育などを受けることが難しくなっています。
現在、私たちが開発した技術がより良い発話と言語の発達を助けることに役立っているのを見ると、とてもうれしくやりがいを感じています。
世界中で新型コロナウィルス感染拡大のために、リモートで医療や療育も行われるようになってきました。
しかし、それは言葉を話さない自閉症の子どもたちと家族にとっては難しいことです」
「とくに幼い自閉症スペクトラムの子どもたちにとって、療育などの中断は大きな影響を与えるものです。
自閉症の症状が悪化したり、家族の苦痛が増したりすることはめずらしくありません。
SPEAKall!のような適切な技術を使い、リモートでの療育中や、その後も家での親が療育するのにも、それが役に立っているのは素晴らしいことです」
この技術は、米国国立聴覚障害研究所などからの支援を受けて、パデュー大学によって開発されています。
言語聴覚士の伝統的なコミュニケーションボードをモバイル機器に置き換えるものとして、国際的に評価されています。
自閉症スペクトラム障害の子の親であり、リモート療育にこの技術を利用しているノエル・ナイキストはこう言います。
「この技術を利用できることに本当に感謝しています。
このアプリケーションは多くの子どもたちや家族の助けになると確信します。
私は娘が見せてくれた発達、成長について、
子どもが話せるようになるためにどうすればよいか途方に暮れているような多くの家族にも紹介しています」
リモートになったからこそ、こうした技術の進歩、そしてもっと利用されるために認知されるといいなと思います。
(チャーリー)