双子の脳の画像データの解析による研究で、自閉症でない子に比べて、自閉症の子の脳は環境による影響を強く受けることがわかりました。
これまでの研究で、自閉症の子どもとそうでない子どもを比較して、自閉症の子どもの脳構造の違いが広範囲にわたっていることがわかっています。
その原因は環境か遺伝によるものだと考えられてきたと、今回の研究発表を行った米スタンフォード大学のポスドク研究員、ジョン・ヘガティは言います。
ヘガティらの研究チームは、脳構造の違いが遺伝的要因によるのか、環境的要因によるのか、どちらなのかを特定するためにコンピュータを用いて、一卵性双生児40組と5歳から16歳までの兄弟姉妹の双生児44組についての脳画像データを分析しました。
これらの子どもたちは、両方の子どもが自閉症である双子の32組、どちらの子どもも自閉症ではない34組、一方の子が自閉症でもう一方の子が自閉症ではない18組からなります。
一卵性双生児はほぼ同じDNA配列を持っています。
兄弟姉妹の双子はおよそ50パーセントを共有しています。
一方で、どちらのタイプの双子でも同じ家庭で育てば環境の影響は同じ程度になります。
研究チームは、各双子のペア内の脳のさまざまな部分の構造特性を計算するためのソフトウェアを使用して、一卵性双生児のグループと兄弟姉妹の双子のグループを比較しました。
そうして、研究チームは遺伝的要因と環境的要因に関連した脳構造の変化の割合を推定することができました。
その結果、研究チームは自閉症でない双子と自閉症の双子で測定された脳の構造のほとんどは、遺伝的に決定されたものであることを発見しました。
そして、自閉症の子どもの脳の形成については、環境要因が自閉症でない子どもに比べて強い役割を果たしていることもわかりました。
環境刺激の影響を強く受けることが知られている前頭皮質や小脳などにおいて、とくにそれが強く認められました。
この状況は脳のすべての領域で当てはまるわけではありません。
いくつかの脳領域、特に大脳皮質の下に位置する領域では、自閉症の子どもは自閉症でない子どもよりも、遺伝的影響が強く現れていました。
「自閉症に関係する、遺伝的影響を受けやすい脳の領域があることを示唆しています」
そうヘガティは言います。
また、双子のペアは親の年齢や有害物質への曝露など多くの環境要因を共有しています。
しかし、100パーセント共有しているわけではないこともヘガティは指摘します。
たとえば、双子の片方が強烈な興味を持っていても、もう片方は興味を示さないことがあります。
食べ物の好き嫌いも違っていることがあります。
また、これまでに受けた療育がどう脳に影響しているかも今回の研究では考慮されていません。
今後の研究では、どのような環境要因が最も強く影響を与えるのか突き止めたいとヘガティは言います。
DNAがほぼ同じな一卵性双生児、DNAが半分同じな一卵性でない双生児、
を対象に、
両方とも自閉症、片方だけ自閉症、両方とも自閉症でない、
とグループにし比較した結果、
・自閉症の有無に関わらず、脳の「構造」は遺伝による
・脳の「形成」(発達)については、自閉症の子はそうでない子に比べて、環境の影響が強くある
ということです。
環境の影響が強いのであれば、親としてはそれを信じ、うまく活かして、過ごしやすくなるように成長を手伝いたいですね。
私の言うことは理解している。その自閉症の子への思い込みが良い
(チャーリー)