- 自閉症の人の日常生活スキルは高校卒業後に低下し始めるのか?
- 日常生活スキルと進学・就職の関係はあるのか?
- 自閉症の人の雇用に影響を与えるのは日常生活スキルよりも重症度なのか?
新しい研究によれば、自閉症の人たちの日常生活を過ごすための能力は、高校を卒業した後に低下し始めます。
そして、より多くの能力を維持している自閉症の人は、進学をする傾向が高くなっています。
自分の身の回りやお金などを管理する能力である日常生活スキルは、自閉症の人の雇用にも関係していきます。
しかし、そうした日常生活スキルよりも自閉症の重症度のほうが雇用には影響を与えていることも研究でわかりました。
今回の研究には、発達障害の人253人が参加しています。
2歳のときに登録し、今では20代半ばになった人たちです。
この人たちが参加した以前の研究によれば、発達障害などでない人たちに比べてゆっくりであるものの、21歳までに日常生活スキルが発達していることが示されています。
今回の新しい研究では、高校を卒業後、子どもや青年のための支援プログラムも卒業から卒業したあとに、どのような発達を見せているかを調べました。
そして、日常生活スキルの発達は、こうした支援サービスがなくなった後に遅くなることが明らかになりました。
この研究調査結果は、成人期の支援プログラムの必要性を訴えるものとなります。
まだ理解されていない傾向にある自閉症の成人の成長に光をあてるものです。
研究者チームは、自閉症の81人と発達遅滞の17人の計98人に参加してもらい、日常生活スキルが2歳から26歳までの間にどのように変化したかを分析しました。
また参加者とその親たちに、参加者がフルタイムかパートタイムかで、18歳、21歳、26歳の時点で2年または4年制の高等教育機関や専門学校に在籍していたかどうかも尋ねました。
その結果、21歳までに日常生活スキルが向上するという先の研究結果を再確認しました。
しかし、学校を卒業後26歳までには一部の能力が低下していることも発見しました。
この時点で、参加者を2つのグループに分けることができました。
約半数の参加者は、他の半数に比べて日常生活スキルが低下していました。
知能指数に関係なく、さらに進学したり就職したりする可能性が低くなっていました。
また雇用については、日常生活スキルよりも自閉症の重症度を測る尺度のスコアの方が高く影響していました。
これは、自閉症者の人の雇用の選択肢を妨げていることを示唆していると研究チームは言います。
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の精神医学・教育学、キャサリン・ロード教授はこう言います。
「社会的困難や自閉症に伴うあらゆることが、仕事に就いたり、仕事を継続することに影響を与える事実が示されました」
ロード教授らの研究チームによると、自閉症の人たちには採用プロセスや職場をナビゲートするのを助けるプログラムが役立つ可能性があります。
その結果、雇用する側にも自閉症の人たちとより効果的に仕事をするのに役立つ情報が得られる可能性があるといいます。
例えば、面接官の質問を変更することによって、面接を受ける自閉症の人の答えが改善することが研究でわかりました。
「私たちは、子どもの自閉症についての理解を高めるための研究では成果を挙げてきましたが、大人の自閉症についてはそうなっていません」
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の大学院生のエレン・クラークはそう言います。
「職場で出てくる自閉症の人に対する問題の多くは、自閉症の人について知らないことが原因となっています。
間違いなく、私たちの研究はそれに役立つものとなるはずです」
すごくゆっくりでも、ゆっくりな分、歳をとっても成長してくはずだと私は思っています。
うちの子もすごくゆっくりですが、できることは増えてきています。
(チャーリー)