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自閉症の女性はカモフラージュすることが上手。知ってほしい

time 2020/10/24

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

自閉症の女性はカモフラージュすることが上手。知ってほしい
  • 自閉症の女性はカモフラージュする能力が高いのか?
  • 自閉症の女性は診断を受けるのが難しいのか?
  • 自閉症の女性はどのような行動をすることが多いのか?

発達障害である自閉症の女性はカモフラージュすることが上手なため、正しく診断されないことが多いと研究者は警告しています。

イギリスでは約100人に一人、約70万人の自閉症スペクトラム障害の人がいます。
自閉症と診断される男性は女性の4倍です。
そして、男性のほうが早く自閉症と診断される傾向にあります。

英サウサンプトン大学、英リバプール・ホープ大学、英ロンドン大学のメンタルヘルス・イノベーションセンターの専門家による新しい研究では、女性がどのように巧みに自閉症の特徴を隠す「カモフラージュ」を行い、必要な支援を受けることができていない状況にあるかに焦点をあてています。

この研究は”Autism and Developmental Disorders”に掲載されています。
その中のコメントで、サウサンプトン大学の研究員であるヘンリー・ウッド・ダウニー博士はこう述べています。

「必要とする女の子が可能な限り早期の段階で支援を受けられるように、学校のスタッフ、かかりつけ医などに『カモフラージュ』についてもっと知ってほしいと考えています。
これによって、良い結果をもたらす早期療育につながります」

自閉症の子どもは、いくつかの特徴的な行動をもっています。
名前に応答しない、アイコンタクトを避ける、特定のフレーズを繰り返す、他の人が何を考えているかを理解するのに苦労している、厳密なルーチンをもっている、また手をはばたく、指をちらつかせたり、体を揺らすなどの反復的な動き、などです。

また自閉症の人には、注意力、論理的思考、興味のある話題の記憶力に優れているなど、多くの長所も見られます。

自閉症の女の子は、より静かで、感情を隠し、社会的状況でよりうまく対処するように見えるかもしれません。
つまり、自閉症の女の子は、上記のような自閉症の人に特徴的と思われる行動を見せないかもしれません。

そして今回の研究で、自閉症の女の子は人とのかかわりの中で、積極的にそうしている可能性が示されました。

研究には8歳から14歳の自閉症、そうでない、男の子と女の子の84人が参加しました。

行動のカモフラージュを測定するために、子どもと交代で、簡単な線で家の絵を描きました。

子どもが絵を描くことに意味のある貢献をしたり、自分の番が終わった後に紙を机の上に押し戻したりした場合には、相互協力の行動としてポイントが加算され、スコアがつけられます。

女の子では、自閉症でもそうでなくても、ほぼ同じスコアとなっていました。
自閉症の女の子の平均スコアは2.91、そうでない女の子は2.89です。

しかし男の子では、自閉症の子とそうでない子では大きく異なりました。
自閉症の男の子の平均スコアは2.16、そうでない男の子は3.22です。

この結果は、自閉症の男の子の行動はそうでない男の子と大きく異なったのと対象的に、
自閉症の女の子はそうでない女の子と同じように行動する、つまりカモフラージュを行うという考えを支持するものです。

この研究ではまた、参加した子どもたちの他人の精神状態を認識する能力も測定しました。
その結果、男の子と女の子の間で大きな違いは見受けられませんでした。

これは、内面は男の子と同様であるにもかかわらず、自閉症の女の子は自閉症の特徴的な「行動を隠す」ことを支持するさらなる証拠となりました。

自閉症の女の子のカモフラージュに注目する重要性について、ダウニー博士はこう言います。

「一般的に、早期療育は良いことです。早いほど良いのです。そのためには、早期診断が重要です。

しかし実際には、自閉症の女性がそう診断されるのは危機的状況になってからであることが、研究で示唆されています。
つまり、うつ病、不安、摂食障害などの問題をかかえてから、自閉症の診断を受けるのです。

他の研究では、カモフラージュする自閉症の男性もいることがわかりました。
女性と同様の精神衛生上のリスクがあります」

研究に貢献したリバプール・ホープ大学教育学部のジュリー・ハドウィン博士はこう言います。

「カモフラージュすること自体が困難につながるものです。
自分ではない者に常になることが、カモフラージュです。

それは、努力が必要で、ストレスがたまるものです。
そして、それをずっと続けることは本当に困難です。

そして、自らのアイデンティティの崩壊にもつながります。
学校や仕事など他のことをする余裕もなくなります」

自閉症の診断方法を、性別に応じて変える必要があることをダウニー博士は主張します。
しかし、自閉症に対してのアプローチは決して一方通行であってはならないことも指摘します。

「自閉症の人たちだけに問題の焦点を当てるべきではありません。

社会全体が自閉症の人がしばしば見せる社会的な違いをもっと受け入れてくれれば、カモフラージュする必要性を感じなくなるかもしれません。

私はそれを強く主張したい。

また、「二重共感問題」と呼ばれるものもあります。
過去には研究者を含めて人々は困難の原因は、自閉症の人にあると仮定してきました。
しかし、それには賛否両論があります。

自閉症でない人は自閉症の人を理解するのに苦労します。
一方で、自閉症の人は自閉症でない人を理解するのに苦労します。

二重の理解の欠如が困難につながっているのです」

(出典:英Medical Xpress)(画像:Unsplash

カモフラージュやマスキングをするのは、そうしないとまわりとうまくやっていけないと感じるからです。

まわり=社会がもっと「違う」ことを受け入れるようになる、多様を受容するようになれば、そんなことをする必要も減るはずです。

私は、コミュニケーションが苦手、困難をかかえている人と良いコミュニケーションできる人が真にコミュニケーションスキルが高い人だと思っています。似たような人たちでワイワイするのが好きな人たちとはまったく違います。

私もそうなりたいですし、そうした社会にしていくためには、真にコミュニケーションスキルが高い人が増えることを願っています。

私は自閉症でマスキングをしてきた看護師。神経多様性へ理解を

(チャーリー)


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