私たちみんなに睡眠は必要です。
しかし、私たちの多くは、十分な安らかな夜の休息を得るのに苦労しています。
英自閉症協会とHappy Bedsが発表した最新の研究によれば、5人に4人の自閉症の人が夜にきちんと眠ることができません。
平均して自閉症の人の68パーセントが毎晩6時間(またはそれ以下)の睡眠をとっており、59パーセントが夜中に目を覚まし、48パーセントの人が早くに起きてしまいます。
そして、その自閉症の人の親たちの82パーセントが、そもそも眠りにつくことが困難だと報告しています。
当然のことながら、十分な睡眠が取れないと、私たちは疲れ、不機嫌になり、集中するのに苦労します。
そして、眠れない夜を常に経験することは健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
英国民保険サービス(NHS)によれば、定期的な睡眠不足は心臓病、糖尿病、肥満、その他の深刻な病状のリスクを高める可能性があります。
長くそれが続くほど、寿命を短くする可能性もあります。
必要な睡眠の量は人によって異なりますが、ほとんどの人が最高のパフォーマンスを発揮するには、約8時間の「良質」な睡眠が必要です。
目を覚ましてまだ疲れている、または昼寝したいと思いながら一日を過ごすことは十分な睡眠をとっていないことを示しているでしょう。
睡眠の質が悪い夜がときどきであれば、その日はつらいですが、健康に害はありません。
英自閉症協会とHappy Bedsが発表した研究によれば、発達障害の自閉症の人たちの睡眠不足の一般的な原因には次のものがあります。
不安(70パーセント)
不安が自閉症の人々にどの程度影響するかについての明確な研究はありませんが、小規模の研究では自閉症の人々の最大84パーセントが不安に悩まされていると報告しています。
イギリスの全人口においては、約8パーセントが不安症やうつ病と診断される基準を満たしていると推定されています。
学校や仕事についての心配(52パーセント)
学校や仕事に関連する心配は私たちの日常生活に高いレベルの不安を生み出す可能性があります。
多くの場合、変化、感覚入力、社会的不安、他者の感情や行動の理解の困難が原因です。
感覚の問題(44パーセント)
感覚の問題は圧倒的な感情につながる可能性があり、それが続く場合にはパニックを起こしてしまう恐れもあります。
その他の原因としては、テレビやインターネットの使用、日常生活の欠如、薬物療法、食事などがあげられています。
英自閉症協会のディレクター、キャロル・ポービーはこう述べています。
「睡眠はすべての人にとって非常に重要です。
英国の70万人の自閉症の人たちは、睡眠に問題をかかえることがあります。
新型コロナウィルスの感染拡大で、日常生活は大きく変わりました。
これは、予期せぬ変化に不安を感じ圧倒されてしまう自閉症の大人や子どもには大きな困難となりました。
これが新しい現実へ適応することの難しさから、多くの自閉症の人たちがストレスの多い一日を過ごした後も夜間に繰り返し起きたり、不安が高まったりして、リラックスして眠りにつくのが難しいことになるかもしれません」
安らかに眠れるようにする方法として次が考えられます。
■ 寝室の環境を整える
寝室は安心できて、静かな場所でなければなりません。
これは、一日の終わりにリラックスして休むためのスペースです。
しかし、あまりにも寝室で他のことをしようと私たちはしがちです。
スマホを充電しながら、動画を見たり、SNSをしたり。
これらは私たちを刺激し、目を覚ますようにさせる可能性があります。
スマホの電源を切り、充電器もベッドのそばに置かないようにすることが役に立ちます。
そして、部屋は暗く、理想的な温度は16度から18度。
よりリラックスして落ち着くことができます。遮光ブラインドと柔らかな素材で作られた寝具は、どちらも一貫して暗く落ち着いた環境を作り出すのに役立ちます。
■ 眠る前にはスマホやゲームよりも読書
電子機器(電話、テレビ、ラップトップ、ゲームコンソールなど)で楽しんでリラックスすることは、みんながしていることです。
しかし、それらは私たちの睡眠に驚くべき影響を与える可能性があります。
研究によれば、スクリーンからの青色光はメラトニン(睡眠時と覚醒時の制御に役立つ「睡眠ホルモン」)の生成に影響を与え、私たちが眠り続けるのを難しくします。
スマホの代わりにリラックスする方法としては読書が良いかもしれません。
英サセックス大学の2009年の研究によれば、わずか6分間の読書でストレスを減らすことができます。
また、スマホの電源を切ることにはなりませんが、画面をスクロールして見る代わりにポッドキャストで耳から楽しむ方法も良いかもしれません。
■ 寝具を快適なもの変える
重い毛布は、睡眠に問題をかかえる多くの人に役立ちます。
多くの人が重い毛布をの効果について報告しています。
■ コーヒーやアルコール
日中に私たちが食べる(そして飲む)ものによっては、良い夜の睡眠を妨げると考えられます。
午後または夕方にコーヒーを飲むと、眠りにつくことができなくなる可能性があります。また、アルコールは脳に刺激作用を及ぼすため、眠りにくくなる場合もあります。
■リラクゼーションテクニック
寝る前に温かいお風呂に入ると、より早く眠りにつくことができるだけでなく睡眠の質も向上します。
毎日マインドフルネスを実践することは、ストレスや不安の全体的な感情を軽減し、頭に浮かぶ否定的な考えや習慣を認識し、緊張感、怒り、そしてうつ病さえも軽減するのに役立ちます。
温かい飲み物と本を片手に座ったり、一人で散歩に出かけたり、お風呂に入ったりすることなどは数分で自分にやすらぎを与えてくれます。
うちの子もなかなか眠りません。
生まれてからずっと薬は飲ませていませんでしたが、状態が悪化し昨年から薬を飲ませるようになりました。
3種類の薬を飲んでいたのですが、休校が続いた頃から、薬を飲むとむしろ興奮して落ち着かないようになりました。
そこで、その中の1種類の薬を与えるのを止めてみると、興奮することもなくなり再び眠りにつきやすくなりました。
かかりつけの医師にもそのことを相談をし、その後その薬はふだんは飲まないようにしています。
しかし、その薬は「脳の働きを落ち着かせる」効果をもつとされるものでした。
特別支援学校に行けず、ずっと家にいる、生活の変化が影響したのか、最近はまるで逆に作用していたようです。
難しいものです。
それでも本人のつらさを考えると、今は眠りの問題があったら医師に相談し、薬の利用もむやみに避けないことを私はおすすめします。
自閉症スペクトラム障害の子が睡眠障害になる可能性は2倍も高い
(チャーリー)