- 自閉症を持つ母親が産後うつ病になりやすい理由は何だろう?
- 自閉症の母親たちが抱える困難にはどんなものがあるのだろう?
- 自閉症を持つ母親の産後うつを防ぐために、どのような支援が必要なのだろう?
英ケンブリッジ大学の研究チームにより発達障害の自閉症の母親についての新しい研究が行われました。
それによれば、自閉症の母親はそうでない母親に比べて、産後うつ病になることが多いことがわかりました。
妊娠中および産後の、自閉症の母親の経験についてよりよく理解することは、当人の健康を守るために重要です。
この研究結果は”Molecular Autism”に掲載されています。
研究チームは、ネットで自閉症の母親たちに匿名で参加してもらい調査を行いました。
355人の自閉症の母親と、比較対象として自閉症でない母親132人が研究調査対象となりました。
どちらの母親も少なくとも一人の自閉症の子をもっています。
自閉症の母親の60パーセントが、産後うつ病になったことを報告しました。
それに比べそうでない母親では、12パーセントです。
そして自閉症の母親は、同時に複数の作業を行うこと、責任への対処、そして子どもに社会を触れさせる機会づくりに困難をかかえていることがわかりました。
またこの研究調査では、自閉症の母親が自閉症の診断を求めた際に、最初はほとんどそう診断されることはないように思われたこともわかりました。
自閉症の女性は、出産前、出産後、医師などと話をしても誤解されることが多く、孤独を感じていました。
にもかかわらず、自閉症の母親たちは自分の子どもを第一に考え、子どもが自信をもてるように育て、子どものために最善なことを行うことができたと伝えました。
この研究を率いたアレクサ・ポール博士はこう言います。
「自閉症をかかえる母親は、周産期と親に成り立てのときに、他の母親にはない課題に直面していました。
こうした課題があったにもかかわらず、自閉症の母親たちの圧倒的多くが、子育てはやりがいのある経験であると言っていました。
今回の研究は、自閉症の女性に対して母親になることに対しての意識を高める必要性と、より適切な支援の必要性を伝えるものになると考えています」
今回の研究チームの一員でもあるケンブリッジ大学の自閉症研究センター所長のサイモン・バロン・コーヘン教授はこのように述べています。
「自閉症をかかえる母親のとても多くが、産後うつ病を経験しています。
そうした母親が助けを求めていること、助けを求めないのであればそれはどんな理由からか、自閉症の母親に限ってどうしてこんなにも多くがそうなってしまうのかを、もっと研究する必要があります。
優先して、自閉症をかかえる母親の産後うつ病を防ぐための方法を開発しなければなりません」
この研究チームの一員で自閉症の人たちを支援しているモニーク・ブレイクモアはこう言います。
「この重要な研究は、調査の設計から募集、そして回答を理解するまで、研究者と対等なパートナーとして協力してくれた自閉症の人たちがいたことで実現できました。
こうしたパートナーシップにより実現できた素晴らしい研究事例ともなりました」
(出典:英ケンブリッジ大学)(画像:Pixabay)
母親がそうならないように、父親にももっとできることがあるのだろうなと察します。
子どもの発達障害の診断で自分もそうであることを知った母親たち
(チャーリー)