- 発達障害や自閉症のある子供が学校に通うことは重要ですか?
- 発達障害を持つ子供が学校でどのような支援を受けるべきですか?
- 自閉症スペクトラムにある子供に対して教育がどのように役立つのですか?
私はグレタの気候変動に対する活動の内容についてはコメントしません。
私がよくわかっていることは、グレタ・トゥーンベリのようなティーンエイジャーが学校に通うことの重要性です。
私は発達障害、自閉症の仲間として、教育的支援と学校への通学が自閉症の人の生活にとても重要である理由を明確にしたいと思います。
ガブリエル・アンドレによるグレタの記事では「原稿を読む子どもを利用すること」を地球温暖化のような複雑な問題に対してするべきではないといいます。アンドレはこう伝えています。
「原稿は読めても、質問に答えたり議論をすることができず、怒る子ども」
原稿を読むスキルなどを含め、グレタはとても知的な少女かもしれません。
だからといって、それは学校を必要としないことにはつながりません。
学校に行かないグレタの決定を支持する、グレタの父親に疑問をもつ人もいます。
グレタは自分の発達障害、自閉症、アスペルガー症候群について率直に伝えてきました。
そしてそれを「すばらしい才能」だと言っています。
その肯定的な考え方を止める人はほとんどいないでしょう。
私もこの考えは支持します。
自閉症にはポジティブな側面もあるからです。確かに私もそう思います。
しかし、「すばらしい才能」とだけ考えることには注意するべきです。
自閉症の人は「あなたはそのままで完璧」というような言葉には賛成するべきではありません。
発達障害という言葉は、そのような障害があると診断された人が生涯を通じて合理的な進歩、成長ができるようにするためにあります。
この発達障害の重大な本質を全否定する人は、こうした成長の機会を台無しにします。
さらには、発達障害と診断された子の親の行動に対する否定にもつながります。
こうした主張に対してすべての親が無視できるわけではなく、その結果、子どもの成長にとって貴重な時間が浪費されてしまうことにもつながるからです。
また「すばらしい才能」とだけでとらえると、知識や学習の不足にもつながります。
幸いなことに、グレタの両親は自閉症を障害とまったく考えない人たちではありません。
しかし学校に行かないことを応援することは、グレタの成長を妨げるものです。
学校のような教育現場で、グレタはすでに持っている知性を活かして、討論や興味のある分野に関する知識の探求などのスキルを身につけることができます。
私が知る限り、グレタは気候変動の背景にある「科学」について興味があるようには思えません。
積極的な活動主義だけに興味があるようです。
それでは、知識不足につながります。
グレタがかなり単純な質問にも適切に答えることができない理由に、それがつながっているはずです。
グレタの発言は多くの場合、自分で考えたものには見えません。
そのために一般的な回答にとどまり、新たな価値をもたらすことがないものになるのは当然のことです。
気候変動の背後にある科学的なことは信じられないほど複雑です。
だからこそ、自閉症の私やグレタにある「すばらしい才能」を使う必要があると思います。
過去から今まで、自閉症と思われる著名な科学者は数多くいます。
ニコラ・テスラ、チャールズ・ダーウィンなど。
しかし、自閉症だっただけでそうなれたわけではありません。自閉症とは単なる違いです。
気候変動に関する科学的な知識がないのに、科学者でもないのに、なぜグレタはこんなに注目されるのでしょうか?
その理由は、グレタのアピールの戦術、または取り巻く大人たちのそれによるのでしょう。
幼い女の子、発達障害、自閉症、アスペルガー、それに該当していなければ、グレタは今のようになっていなかったかもしれません。
そして、メッセージを広く伝えるには情熱的な感情を用いることが有効です。
グレタやそのメッセージが活躍しているのは政治の場です。
グレタのメッセージは感情だけに訴えるものです。
事実に基づく、知識に基づくメッセージではありません、感情にだけ基づいたメッセージです。
クリスピン・サートウェルはエッセイでこう指摘しています。
「地球が地球温暖化の結果として大きな脅威にされされていると人に考えてもらうためには、論理的な説明や科学の知識を提示するよりも、情熱を見せるのです。
政治は合理的なものではありません。政治も科学に基づいているわけではないからです」
グレタは自閉症のアスペルガー症候群のために、物事を黒か白かとだけ考えることを認めています。
しかし、地球温暖化のような複雑な問題には灰色の領域が必要です。
グレタは地球温暖化の問題に向けているこの努力を、自分自身の成長にも向けることができるはずです。
デボラ・バーンバウムは著書「自閉症の論理」でこう伝えています。
「私たち、自閉症の人が苦労しているのは他者への共感を示す能力です。
そして、社会的なやりとりです」
これに対処する方法となるのが、社会的ルール、道徳の遵守です。
共感を示すことが難しくても、ルールに従うようにするのです。
私は自閉症である自分自身の経験からも、ルールを持つほうが、自信を持って社会的な状況を含めた困難を乗り越えるのに役立つといえます。
自閉症の分野で著名な研究者であるサイモン・バロン=コーヘンもこのことを理解しています。
自閉症の人たちは道徳的能力を持っているだけでなく、
「自閉症の人たちは、たくさんのルールに従うことを望んでも、とてもそれを守ってくれる」
そして自閉症でない人と比較してこう述べています。
「多くの人たちは、人との共感を通じて道徳的になっていきます。
自閉症などの人たちは、ルール、論理に基づいてそうなっていきます」
自閉症の人には、ルールを設定しルールを理解することが役に立ちます。
そのために、学校のような場、手伝ってくれる人たちが必要となります。
気候変動の背景にある科学について、フェリックス・カービーはこう記しています。
「気候変動について抗議している10代の若者たちは、何に抗議しているのかもわかっていない。
地球温暖化の研究はとても複雑な分野であり、未成年の人を含め多くのふつうの人は把握、理解していることはまずありません。
現在の人間の活動が将来の地球の気候の状態にどう影響するのか、それに関わる不確実性を理解することもできません」
気候変動の問題に関心のある10代の若者には、もっと利用できる情報が必要です。
あるいは、アクセス可能な方法で気候変動を取り巻くデータを知るために学ぶことが必要です。
また結局のところ、グレタや私のような自閉症の人たちも社会では自閉症でない人と同じように振る舞いたいと考えています。
学校に行かないことは、若いうちに大きく成長を求める人には実行可能な選択肢の一つでしょう。
ですが、そう振る舞えるようになるためには学校のような、ある程度の支援が必要です。
自閉症の専門知識を持つ人が、グレタの発達を支援できる環境で、できればグレタが自分の興味を探求できる環境で支援してほしいと思います。
これは自閉症を治すという意味ではありません。治す方法はありません。症状を改善するのみです。
グレタが気候変動について適切に理解または対処できないという事実が、価値あることの達成を邪魔しないように願っています。
原稿がなくても、グレタが自分で話せるようにサポートがされていくことを期待しています。
オランダの経済学教師 アレッサンドロ・ヴァン・デン・バーグ
(出典:米MerionWest)(画像:Wikimedia)
地球規模の問題、つまり全世界、全世代の人たちに関わる問題について、対立を煽るような方法に私は賛同できません。
また、そこまで行動力もあって聡明な方であれば、あるからこそ、もっと広い視野でもっと考え、おだやかにもっと広く人と話し学んでほしいとも思います。学校はどうでもかまいません。
子を持つ親として、勝手ながら彼女のこれからの可能性を考えるとそう思うのです。
とんがっているのでなく、ただ極端に偏っているように思う彼女のことを見るたび、取り巻きの大人たちが彼女をうまく利用しているのではないのかと疑い、無邪気に支持する大人たちには素晴らしい可能性をもつ彼女自身のことも少し考えてほしいと願う気持ちになります。
予想外の卒業スピーチ、発達障害の高校生が予想外のメッセージ
(チャーリー)