- 思考や感情を理解するために設計されたゲームは何を示唆するか?
- 研究チームはどのようにして参加者をグループ分けしたか?
- トレーニングゲームをプレイしたグループと通常のゲームをプレイしたグループの脳活動にどのような違いが見られたか?
他人の思考や感情を直観する能力を磨くように考えられたゲームで遊ぶと、社会的なことに関わる脳の領域の活動が変化することが確認されました。
これはゲームが発達障害の自閉症の人たちに役立つことを示唆する、裏付ける証拠があるものです。
研究チームによれば、同じゲームはすでに統合失調症の人々の他者の思考や感情を推測する能力を改善しています。
自閉症の人たちと同様に統合失調症の人たちも人との関わりに困難をかかえています。
学習と記憶を改善するためのコンピューターによるトレーニングゲームは存在していますが、それは自閉症の人たちにメリットがあるものかはわかっていません。
今回の調査結果を発表した米ラッシュ大学の精神医学及び行動科学のクリステン・ホウト助教授は、このゲームは社会的な認知の複数の側面を改善するために設計された初めてのものだといいます。
ホウト助教授らによる研究チームは、今回の研究では発達障害などでない51人の成人に研究に参加してもらいました。
登場人物の行動が理にかなった行動をしたかどうかの質問を行うとして、登場人物の考えや感情を理解することを求めます。
その上で、人の思考、感情、表情が表れる短い物語を読んでもらい、そして登場人物を真似てもらいました。
その間の脳活動をスキャンしました。
他者の思考や感情を推測する能力に関わる脳の領域、内側前頭前皮質、内側頭頂皮質および側頭頭頂接合部が明らかに活性化していました。
その後、研究チームは参加者を2つのグループにランダムに割り当てました。
Aグループは、24人の参加者が2週間または3週間で最大15時間、社会的認知を改善するためのトレーニングゲームをプレイしました。
そのゲームでは、プレイヤーはストーリーや顔から感情を認識することが求められます。
または、声のトーンを解釈して同様の社会的手がかりをつかむことが求められました。
Bグループの27人は、通常のコンピューターゲームをプレイしました。
その後再び、人の思考、感情、表情が表れる短い物語を読んでもらい脳活動をスキャンしました。
登場人物の行動が理にかなった行動をしたかどうかの質問に対しては、A、Bの全員とも最初のときと同等に答えました。
しかし、トレーニングゲームをプレイした人たち、Aグループについては、他者の思考や感情を推測する能力に関わる脳の領域の活動が大幅に低下していました。
つまり、精神的な努力を以前よりも必要とすることなく、同じように答えることができていたのです。
なお、通常のゲームをしていた人たち、Bグループにはこのような変化は見られませんでした。
「社会的認知を改善するためのトレーニングゲームを行った人は、社会認知の脳のネットワークがより効率的に活性化していることが示されていました。
これは、こうしたトレーニングゲームによって脳を変化させられることを示唆しています。」
研究チームはこのトレーニングゲームによる脳の変化についてさらに研究を行う予定です。
(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay)
脳活動のスキャンからも、たしかに改善することを目的に考慮されたゲームであれば、社会に関わるスキルを改善、伸ばすことに役に立つという研究結果でした。
楽しくて、効果の高い、療育ゲームがどんどん出てきて、身近に遊べたらいいなと願います。
発達障害の子に楽しくて安全な社会的空間となるマインクラフト
(チャーリー)