- 障害を持つ人がビジネスプロセスにどのように貢献するのか?
- P&Gが障害を持つ人を採用する理由は何か?
- ニューロダイバーシティが成功する場所であるために企業がどのような取り組みをしているのか?
米国にあるプロクター&ギャンブル(P&G)社のグローバル本社では、発達障害の4人がマネージャーとして採用されました。
フルタイムで働く4人は、ビジネスプロセスにおけるデジタルソリューションを担当します。
5週間に渡る採用プロセスを経て採用されました。
P&Gは、RPA(パソコンでの定型的な作業の自動化)の推進をになう人を求めていました。
「P&Gの本社で、こんな仕事をやっているんだと言えるのはうれしいことです。」
そう働き始めたブランドン・ハートは言います。
「こんなに有名でこんなことをやる会社なんて、他にはAppleかGoogleくらいしかないでしょう。」
ジレットひげそりなどの消費財メーカーであるP&Gは、典型的な思考スタイルをする人と、多様な思考スタイルの人が一緒に働くことでイノベーションが促進し、より良い製品を作り出すことができると述べます。
P&Gはこれまでに、研究開発者、ソフトウェアエンジニア、製品開発担当で発達障害の人を採用しています。
「P&Gはニューロダイバーシティプログラムを開始し、多様な人たちのユニークなアイデアと能力の恩恵を受けられるように、多様な人たちが最大限に活躍できるようにしました。」
そうP&Gのグローバルビジネスサービス担当社長、ローラ・ベッカーは言います。
「P&Gはビジネス、組織、および個人にとって、ニューロダイバーシティが成功する場所でありたい。」
ニューロダイバーシティ・神経多様性という考え方により、発達障害である自閉症スペクトラム障害をかかえる人たちの雇用がフォーカスされてきています。
特に科学、技術、工学、数学の分野で才能を開花させている人もいる一方で、自閉症の人たちの約85パーセントは雇用されていません。
P&Gの広報のパトリック・ブレアーはこう言います。
「自閉症の人たちに活躍してもらいイノベーションを推進するために、米シンシナティに、ニューロダイバーシティ・スマート・オートメーションセンターを設立しました。
スマート・オートメーションは、労働集約的な業務プロセスの合理化、自動化を図るものです。
これには、科学、技術、工学、数学、それらSTEMの才能が求められます。」
自閉症は人との関わり合いや感覚などに困難をかかえます。
P&Gによれば、細部へのこだわり、分析、数学、パターン認識、情報処理について強力なスキルも持っているといいます。
P&Gは、非営利団体のスペシャリスタンUSAと協力して、自閉症の人の採用、働く環境作りを進めてきました。
Specialisterne USAと協力して取り組みました。
P&Gは英国、ボストン、コスタリカでも同様に自閉症の人の採用を進めてきました。
「私たちの最初のニューロダイバースチーム、自閉症の人たちは8か月前にコスタリカで採用されました。
彼らはビジネスと組織に非常に大きな影響を与えてきました。
毎日、インクルージョンの価値と成長の考え方を学ばせてくれています。」
P&Gのグローバルビジネスサービス社長であるベッカーはそう言います。
自閉症の6人が雇用されたコスタリカでは、情報技術に関連する仕事に重点が置かれています。
P&Gの金融機関にソフトウェアソリューションとスマートオートメーションを提供するチームと一緒に仕事をしています。
米シンシナティのP&G本部で採用されたマネージャーの一人であるダニー・レイクスは、P&Gの神経多様性評価プログラムが人生に対する見方を変えたと言います。
「これまで、正直に言うと、どの企業も私の障害を本当に気にかけているとは思いませんでした。
私がベストを尽くして仕事をするように求めている企業もありませんでした。
P&Gのこの取り組みがなければ、私は自分の価値もわからなくなっていました。
P&Gは私にとって、本質的に生きる機会を与えてくれました。」
(出典:米CINCINNATI BUSINESS COURIER)(画像:Pixabay)
IT企業だけでなく、競争力のある企業はその力の源泉をこうして考え方、視点の多様性ともいえるニューロダイバーシティに見出しています。
こうした企業はどんどん増えていくはずです。
イノベーションは、発達障害や自閉症も関係なく、多様なそれぞれの個がお互いを尊重した上で、ぶつかったり、協力したりして、生まれるものだと思います。
高機能自閉症の人を積極採用する企業。「私たちが学んでいる」
(チャーリー)