- 子どもの発達障害の割合は20年間でどのように変化してきたのか?
- 発達障害の割合が増加している要因は何か?
- 発達障害の割合が高い子どもたちの特徴は何か?
新しい調査研究によれば、米国では子どもの約18パーセントが発達障害をかかえています。
この数字は過去20年にわたって増加し続けています。
米疾病対策予防センターと保健資源・サービス局の研究者は、米国民健康インタビュー調査のデータから、3歳から17歳の子どもについて発達障害について調べました。
「米国の子どもの発達障害の有病率と傾向:2009-2017」によると、
発達障害の子の割合は、
2015〜17年には17.8パーセント
2009〜11年には16.2パーセント
1997〜99年には12.8パーセント
でした。
そして2015〜17年の米国の子どもの中で、発達障害の状態別の子どもの割合は次のとおりです。
注意欠陥/多動性障害(ADHD) 9.5パーセント
学習障害 7.9パーセント
その他の発達遅延 4.1パーセント
自閉症スペクトラム障害 2.5パーセント
過去12ヶ月の間に吃音 2.1パーセント
知的障害 1.2パーセント
過去12ヶ月の間にけいれん 0.8パーセント
中度/重度の難聴 0.6パーセント
脳性麻痺 0.3パーセント
失明 0.2パーセント
研究によれば、2009年以降の発達障害の子どもの割合の増加は、ADHD、自閉症、知的障害の増加によるものと考えられます。
ADHDの子どもの割合は8.5パーセントから9.5パーセントに増加、
自閉症では1.1パーセントから2.5パーセントへ
知的障害では0.9パーセントから1.2パーセントへと増加しています。
一方で、発達障害であってもいずれなのか特定できない子どもは4.65パーセントから4.1パーセントに減少しています。
子どもたちが正確に診断されるようになってきたと考えられるでしょう。
10代、男性、公的健康保険に加入、出生時体重が少ない、貧困状態にあり、農村部に住む、これらの条件の子どもが最も発達障害の割合が高くなっていました。
そして、2009年から2017年にかけては、10代、男性、白人やヒスパニック、民間保険に加入、これらの条件の子どもたちの発達障害の割合が大幅に増加しています。
発達障害の割合の増加は、より適切に診断ができるようになったこと、診断基準の変更、診断で利用する言葉を変更したことによると考えられます。
「この増加を考えると、さらなる研究によって、発達障害のある子どもの特性、発達障害に関連する複雑なリスク要因、および診断を受けた人が改善することを長期の視点で確認できる療育方法をよりよく理解できるものになるはずです。」
そう研究では述べられています。
そして、研究を行ったモリーン・S・ダーキン博士は関連する解説でこのように述べています。
「発達障害の子の割合の増加は医学が進んできたからだと考えてもいいかもしれません。
過去に比べ、早産や先天性の障害をもつ子どもたちは長く生きるようになりました。
発達障害の診断も改善されてきました。
障害について社会は理解し受け入れるようになってきました。」
ダーキン博士はこう言います。
「こうした研究調査結果をみれば、発達障害のある子どもたちのニーズを満たすための支援や療育機会の拡大の必要性を無視できないものでしょう。」
(出典:アメリカ小児科学会)(画像:Pixabay)
今まで見過ごされてきた子どもたちが見過ごされなくなってきた。
発達障害の子の割合が増えてきたのはそういうことです。
支援を必要とする人たちに、ますます適切な支援がなされていくことを望みます。
発達障害の子が世界中で驚異的な増加をしているのは良いこと
(チャーリー)