- 発達障害を持つ俳優が受けるオーディションはステレオタイプな役が多いのか?
- 発達障害を持つ俳優が組合に参加できるかどうかは?
- 発達障害を持つ俳優が活躍できる場を広げるためにはどうすればいいのか?
発達障害の娘は28歳になりました。
現在のようなサポートがない時代から育ててきたのです。
発達障害の娘は、教育的社会的支援を提供するプログラムのおかげで、大学を優秀な成績で卒業することができました。私は本当に感謝をしています。
それでも多くの発達障害の人と同じように、学校を卒業した後はずっと失業状態でした。
しかし、私の娘のサマンサは、才能と努力、そして幸運に恵まれました。
「キープ・ザ・チェンジ」という短編と長編の映画のキャストに選ばれました。
長編映画は2017年にトライベッカ・フィルム・フェスティバルで優勝し、娘は最優秀女優賞にもノミネートされました。この映画はニューヨーク・タイムズ紙など多くのメディアでも絶賛されました。
ここまではまるでおとぎ話のようです。
ですが、素晴らしい映画デビューを飾ったのにこの一年で受けたオーディションはわずかです。
そして悲しいことにどれも、ステレオタイプな発達障害の10代の人の演技を求めるものでした。
私は、全米映画俳優組合に娘のサマンサが参加できるかどうかを確認しました。
結果はノーでした。
全米映画俳優組合の多様性委員会に連絡をしましたが、サマンサが出演した映画は「超低予算」カテゴリーであるために資格がないということでした。
委員のアダム・ムーアによれば「超低予算」カテゴリーとすることで、監督や脚本家は全米映画俳優組合が定める料金を俳優に支払う必要がなくなります。
しかし、受賞した映画でデビューした俳優をどうにか支援することはできないものでしょうか。
ムーアによれば、
組合に入っている障害をもつ俳優が障害のある俳優を助けるような枠組みに特に反対をしているといいます。
「みんなが平等に扱われることを望む。」
それが理由です。
私にはアメリカのエンターテイメント業界にある外国人嫌いと同じように思えてしまいます。
結局、娘のサマンサが先駆者にならなければならないようです。
ムーアはサマンサが他の人への扉をあけることにもなると確信してくれました。
私は娘のサマンサをとても誇りに思っています。
努力と才能が報われることを願っています。
映画のディレクターやプロデューサーは、発達障害の役を演じるには、発達障害をかかえる俳優のほうが優れており、経済性も良いことを知るべきです。
そして、発達障害の人たちが活躍できる機会をもてるように、発達障害の俳優が活躍するより多くの品質の高い脚本も必要です。
私たちの会社ニューロダイバースシアターでは、舞台に立つ人、舞台を見る人、両方が楽しめるように発達障害のある人とない人が一緒になって歌って演じてもらうことを行っています。
才能のある人には無料でトレーニングの機会を提供し、舞台に立ってもらえば支払いもします。
ブロードウェイで上映したテンペストはチケットが完売しました。
脚本も障害のある俳優にあわせたものにしたものでした。
娘のサマンサや他の俳優たちに対して、全米映画俳優組合の見方が変わるかもしれません。
(出典:米THE GOOD MEN PROJECT)(画像:Pixabay)
「守りたい人」と「求める人」の対立。
障害のある方という限った枠組みにしたことで際立ってイメージができます。
どちらも切実です。
しかし、求める人の多さ、増加を考えれば変わらざるを得ないのだろうと思います。
映画を作り発達障害の若者たちが映画スタッフの仕事を学べる機会
(チャーリー)