- 自閉症スペクトラム障害の特性はどのように社会に役立つのでしょうか?
- 自閉症スペクトラム障害の人が得意とするスキルにはどんなものがありますか?
- 自閉症スペクトラム障害の人が社会的な困難をどのように補っているのですか?
自閉症スペクトラム障害(ASD)の人の特徴として他人の感情や精神状態がわからないことがあげられます。
しかし、人の行動についてもっと広く捉えて考えると、
自閉症スペクトラム障害のない人よりも自閉症スペクトラム障害の人は、社会心理学者と同程度以上に優れている。
という米イエール大学の研究結果が”the journal Proceedings of the National Academy of Sciences”に掲載されています。
「自閉症スペクトラム障害の特徴をもつ人たちは、ある一人についての精神状態を理解するのが困難であっても、たくさんの人たちが社会状況にあわせてどう反応するのかを分析することは得意なのです。」
心理学科で博士課程のアントン・ゴルウィッツァーはそう言います。
ゴルウィッツァーらの研究チームは、104カ国の6595人に回答してもらったネットのクイズでの結果を分析しました。
このクイズは、一般的な人々がある社会的な状況において、どう反応するのかを予測し答えるものです。
ゴルウィッツァーはこれに必要なスキルを「社会心理学的スキル」と呼んでいます。
こうしたクイズです。
問題.人は一人でいるときよりも集団にいるときのほうが自分の行動に責任を感じますか?
正解.いいえ。
問題.怒っているときには、ぬいぐるみに八つ当たりをすることで気分はよくなりますか?
正解.いいえ。
問題.平均すると人は一人でいるときよりも集団にいるときのほうが一生懸命になりますか?
正解.いいえ
こうした問題に対して、自閉症スペクトラム障害の人は、そうでない人に比べて良いスコアでした。
ゴルウィッツァーはこうした一般性をもつ問題については、個々人の感情や精神状態を評価する必要なしに、状況分析を行えるものであるためだといいます。
そしてこの「社会心理学的スキル」は、自閉症スペクトラム障害の人がかかえる社会的な困難を補うのに役に立っていると考えられます。
(出典:米イエール大学)(画像:Pixabay)
個々人を相手にする必要なく、一般的な問題となれば、持っている特性が強みになり合理的な判断ができるのだろうと思います。
そして、そうした分析はたしかに困難を少しでも減らそうと培われてきたものなのでしょうね。
「社会心理学的スキル」は政治や経済の課題解決にますます必要とされるはずです。活躍して頂きたいと願います。
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(チャーリー)