- 自閉症の人の心拍数は安静時にどれくらい変化するのだろうか?
- 自閉症の人が心拍数の変化を示さない理由は何だろう?
- 自閉症の人の心拍数の変化と社会的困難との関係はどのようになっているのだろうか?
自閉症の成人の心拍数は、安静時の心拍数からほとんど変わることがないことがわかりました。
自閉症の症状のいくつかを説明する理由になるかもしれません。
そしてこの研究調査結果から、自閉症の人は心拍数や呼吸など不随意運動を制御する「自律神経」に問題をかかえることが示唆されます。
多くの人は、休んでいるときでも心拍数は変化します。
これは、社会的な刺激を含む環境の変化に、容易に対応できるようにするためです。
しかしいくつかの研究では、自閉症の子どもはこの心拍数の変化を示しません。
今回の新しい研究ではその問題が成人になっても続いていることを明らかにしました。
自閉症への治療の効果を測るために心拍数を使うことができるかもしれません。
そう、今回の研究を行ったオーストラリア、シドニー大学の子どもと青少年の精神保健のアダム・ガステラ教授が言います。
「心拍数の変化は、簡単に安全に測定できるものです。
つまり、多くの人が測定することができます。」
自律神経系は、人の社会的刺激に対する反応も制御します。
つまり、自律神経系の問題は社会的困難の原因になっている可能性があると米マルケット大学のエイミー・ボーガン・ヴァン・ハック准教授は言います。
「多くの場合、私たちは脳の活動を直接測りたいと考えますが、心拍数が役に立つことを忘れています。
自閉症について、心拍数に着目するのは重要なことです。」
また、今回の研究結果は、自閉症の人が早期に死亡する原因の一つである心臓の問題についても説明するものかもしれません。
ガステラ教授らによる研究チームは、16歳から41歳までの55人の自閉症の人と、そうでない55人の人に座ってもらい5分間の心拍数を測定しました。
自閉症の人たちは、そうでない人たちに比べて心拍数の変動が少ないことがわかりました。
また、自閉症の人たちはそうでない人に比べて心拍数は多くなっていました。
自閉症の人の約半数が、抗うつ薬や抗精神病薬を服用していましたが、自閉症の人たちの間において心拍数の変化のなさに違いはありませんでした。
つまり、薬が心拍数に影響を与えていることはありませんでした。
また、自閉症だけでなくADHDの診断を受けている人でも、心拍数の変化の少なさについて違いはありませんでした。
そう、ガステラ教授は伝えています。
自律神経系の問題と自閉症の特徴的な症状との関係性についての研究は興味深いと米インディアナ州のキンゼー研究所の発達神経心理学者のジャック・コラッツが言います。
「自律神経機能が身体、及び心理的な問題に密接に関係していることは、すでに多くの証拠があります。
自律神経系の機能の違いが、自閉症の一般的な特性に影響している可能性はあります。」
感情をつかさどる中心ともいえる扁桃体を含む脳の領域は、自律神経系の調節に関与しています。
ガステラ教授らの研究チームは自閉症の人たちの脳をスキャンしてこれらの脳領域と心拍数の関係について研究を進めています。
(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay)
心拍数の変化が少ない。
それは知りませんでした。
うちの子も自閉症です。これまで気づくことはありませんでしたが、そうでない人に比べると感情や様子の変化が少ないためそんな気もします。
例えば、怖い場面でも変わらないのは「そもそも恐怖を感じないのか」「恐怖は感じているが心拍数は変化しないのか」について脳スキャンなどにより解明して頂きたいと思います。
助け方が大きく変わってくるので。
自閉症の人の多くが40歳未満で死亡。みんなに行動してほしい
(チャーリー)