- 1. 自閉症スペクトラム障害の人はフィッシング詐欺の被害に遭いやすいですか?
- 2. 発達障害の人がフィッシング詐欺に対するリスクが高いと考えられる根拠はありますか?
- 3. 自閉症スペクトラム障害の人は偽物のウェブサイトを判別する能力に優れているのでしょうか?
米アラバマ大学のバーミンガムにあるコンピュータ・サイエンス学部による研究で、発達障害のような社会的な困難をかかえる障害の人とネットでのフィッシング詐欺との関係について調査が行われました。
フィッシング詐欺は、コンピュータのユーザからカード情報など個人データを盗み出すために行われているものです。
社会的なスキルに困難をかかえているために、自閉症スペクトラム障害の人はフィッシング詐欺に遭いやすいだろうという仮説のもとでこの調査は行われました。
「私たちは発達障害の人は、そうでない人に比べてフィッシング詐欺の被害をうける可能性が大きいと考えました。」
そう、サクセナ教授は言います。
発達障害である自閉症スペクトラム障害は、米国で増加しています。
2008年には88人の子どものうち一人がそうでしたが、2014年には68人の子どものうち一人にまでなっています。
このアラバマ大学の研究調査では、2つのグループに対してフィッシング詐欺の実験を行いました。
自閉症スペクトラム障害と診断をされている15人とそうでない15人です。
あるサイトについて、本物のサイトとフィッシング詐欺を行うための偽サイトの判別ができるかどうかを行ってもらいました。
自閉症スペクトラム障害の人たちのほうが、社会的なスキルに困難をかかえることから、判別することが難しいだろうという予測をしていました。
しかし、自閉症スペクトラム障害の有無で、大きな違いは見られませんでした。
どちらの人たちも、ふだん使っているサイトについては、本物を判別することに優れていました。
むしろ結果的には、自閉症スペクトラム障害の人たちのほうが、フィッシング詐欺に遭わない可能性を示していました。
サクセナ教授は、自閉症スペクトラム障害の人たちは、そうでない人と同じように偽物のサイトを判別できる上に、細部への注意力があるためにフィッシング詐欺に遭いにくいと考えられると言います。
「われわれの今回の調査結果では、発達障害の人のほうがフィッシング詐欺に遭いやすいという考えをくつがえすものとなりました。
今後は、よりたくさんの発達障害の人に参加をしてもらい調査をしたいと考えています」
(出典:米アラバマ大学)(画像:Pixabay)
違っているから、頼りない。
そうではなく、違っているから頼りになることも多いんです。
軽視すること誤解することなく、お互いに相手を尊重することで良いことがたくさんあります。
発達障害の人は人を助けない。そんなことはない。
(チャーリー)