- 自閉症スペクトラム障害の人たちが料理を学ぶ際、どのような支援が必要なのか?
- 発達障害の人たちが友だちや恋人を求める中で、どのような困難があるのか?
- 料理教室を通じて発達障害の人たちが身につけられる社会的スキルや自信は何か?
21歳から29歳までの4人の大人が、フィラデルフィア料理文学センターの一室に集まって、調理用品を手にしています。
自閉症スペクトラム障害の人たちが3つのクラスに別れて料理を学んでいます。
言葉を話せる18歳以上の人であれば誰でも無料で参加することができます。
参加しているクリスティーナ・ドケットブルーカーはこう言います。
「私は23歳です。
今、先生がカボチャの料理を作っているのを見ています。」
2017年から、地元の米ドレクセル大学のフィラデルフィア自閉症プロジェクトと共同して、この料理文化センターでこの取り組みが始まりました。
いつも笑顔のクリスティーナは、この料理を学ぶ機会をとても楽しんでいます。
フィラデルフィア自閉症プロジェクトのプログラムディレクター、リンゼイ・シェアはこう言います。
「誰でも食事を作れるようになることは必要です。
発達障害の人ももちろん例外ではありません。
また、この教室に参加することで社会性も学べます。
参加した人たちは、友だちと食事をするのに役に立つ、必要なスキルを身につけることができます。」
直近の米ペンシルバニア州での発達障害の人たちへの調査によれば、半数以上の発達障害の人たちがもっと友だちがほしい、恋人がほしいと考えています。
発達障害の自閉症スペクトラム障害では、社会的なスキル、反復行動、言葉を話すことなど広範囲に問題をかかえることがあります。
「発達障害による状態は人それぞれです。
人と目を合わせることができなかったり、それぞれにさまざまなかたちで困難をかかえています。」
夕食時に人と一緒にテーブルにつくような日常的なことも困難をかかえる人もいるとリンゼイは言います。
「この料理教室では、参加している人たちの間でさまざまなレベルでやりとりが発生します。
それが、この教室の素晴らしいところなんです。
共通の目的を一緒にもつことで、人生に必要となってくるスキルを学んでいくんです。」
この料理教室「クッキング・ウィズ・コンフィデンス(自信を持って料理する)」の今回の授業では、21歳の生徒は2時間ほとんど言葉を出すことはなくチーズを切っていました。一方でクリスティーナは、パスタのなべをかき混ぜたり、みんなのグラスに水を注いだり、食器を選んだりしています。
29歳のジョン・パゴーニはいつかレストランをオープンしたいという夢をもって参加しています。
「私は発達障害の人を雇用して、自分に与えられたチャンスを同じように提供したいんです。」
そう言いながら、得意の自分の料理を作ります。
インストラクターのクレア・リチャードが、パスタを茹でようとしているパゴーニに塩を入れたか質問しています。
発達障害の14歳の息子をもつ、このリチャードが料理教室の4つのクラスすべてで指導しています。
「発達障害の子たちみんなが、いつも新しい料理に挑戦したいと思っているわけではありません。
ある料理だけにこだわる子もいたりします。
私は、自分の息子にそうしたいように、自分の殻を破れるように励ます力になりたいんです。
そして、どんな誰にでも、ピザやホットドックだけでないものも食べてほしいとも願っています。」
この教室では、簡単に作れる健康的な料理を学べます。
リチャードソンはこう言います。
「私たちは、パスタのようないつもの食材と、野菜を可能な限り使うようにしています。」
そして、すべての料理において、包丁で切る、皮をむく、そうしたことが必要になっています。
参加している生徒たちには、料理を作る2時間、それぞれの人に複数の仕事がお願いされます。
例えばある生徒にはバナナを切ること、別の生徒にはナプキンを折りたたむこと、テーブルセッティングをすることがお願いされていました。
そして、料理ができあがるとみんなで一緒に食べて、どれだけおいしいかと会話をします。
教室での授業が終わると、その日作った料理のレシピを印刷した紙と、食材が入った袋が贈られます。
自宅で、親などの介護者と一緒になって同じものを作るように勧められるのです。
多くの生徒たちが、次の教室のときに自宅で作った料理の写真を見せてくれるそうです。
料理を教えているリチャードはこう言います。
「私は何年も人に料理を教えてきました。
その中でも、この料理教室は本当に大好きです。
みんな、正直で面白いんです。
そして、みんなが自信をつけて、人生で必要なことを経験するのを目にできるんです。」
(出典・画像:米The Inquirer)
うちの子はテーブルを拭く、料理を持っていく。
そんなことくらいしかできませんが、それでもうれしいものです。
本人もニコニコしてやってくれます。みているこちらもニコニコ、おいしい食事になります。
発達障害、知的障害の方と一緒になって新しいメニューを作る
(チャーリー)