- 発達障害をもつ方がビジュアルエフェクトの仕事に向いているのはなぜか?
- 発達障害の若者向けのエクセプショナル・マインド学校ではどのようなプログラムが行われているのか?
- 発達障害を持つ人が映画産業で成功するためにはどんなサポートが必要か?
ヤコブ・フェンスターは巨大な2つのディスプレイの前に座って仕事をしています。
ヤコブは27歳。ビジュアルエフェクトの仕事です。映画やテレビ番組の映像を綺麗にしています。彼は自分がこのような仕事につけるとは想像もしていませんでした。
彼には発達障害があり、多くの発達障害の人と同じく、仕事にはつけないだろうと考えていました。
「仕事をしてお金をもらえるなんて考えもしなかった。ずっと、家にいるだけだと思っていた。」
ヤコブは高校を卒業後すると、アニメーションとビジュアルエフェクトを専門とする発達障害者向けのエクセプショナル・マインド学校で学び、現在の仕事につきました。
その学校では3年間のプログラムを履修すると、大手映画会社と契約を結ぶ学校が運営するスタジオで働く機会を得ることができます。
そのエクセプショナル・マインドスタジオは、「キャプテン・アメリカ」「アベンジャーズ」そして「ゲーム・オブ・スローンズ」など30以上の映画やテレビ番組のビジュアルエフェクトに携わっています。
看板の表示やその他、背景に写っている不必要なところを消す作業や映画のエンドロールの作成、そして映像の1コマごとに、キャラクターなどを背景から際立たせるために線でなぞる作業を行っています。
ヤコブの最近の作業は、人魚を出来る限り、リアルに見えるようにするものです。
「人魚の尾ひれにはタグと線がついていました。そのままでは、人魚の映像にはなりません。その人魚のタグと線を消す作業です。」
この学校の設立者は、発達障害のある若者は、仕事とうまく合えば、際立った存在になると信じています。
発達障害がある人はコミュケーションをとったり、まわりとうまくやっていくのに困難なところがあります。しかし、その一方で細部にこだわることや、決められていることを行うのは得意です。それらは、ビジュアルエフェクトの仕事にはとても向いています。
ヤコブもそのとおりだと言います。
「私は、1つの画像から作業を始めると、終えるまで、途中でやめることが出来なくなります。くじけそうになっても、続けてしまうのです。」
エクセプショナル・マインドの取り組みは、発達障害の若者の高い非就職率へのチャレンジです。ある調査結果では、発達障害者の半分は高校卒業後6年の間、収入を得る仕事につくことができていません。
この学校は、生徒に技術を身につけさせるだけでなく、映画業界で大きくなる一方のニーズにも応えています。
「ビジュアルエフェクト映画の大作には、常に最新のビジュアルエフェクト技術が必要とされているのです。」
エクセプショナル・マインド学校とスタジオを5年前に作った共同設立者のユーディ・ベネットが言います。
「昔はミスがあったら、もう一度撮影に行かなくてはなりませんでした。今は違います。撮り直す必要はありません。スタジオに持ってきて修正すればよいのです。」
ユーディには、個人的な使命がありました。
彼女の息子、ノア・シュナイダーには発達障害があります。
中学校の時に、苦労をしましたがベネットはコンピュータプログラムのクラスに息子を入れました。
すると息子はデジタル・アートや周りにあるデジタルなものにはまりました。
「母さんは、僕の情熱を冷めさせないようにするために特別な学校を作りたいと思っていたんだ。」21歳になったノアが言います。
ノアは3年間のコースを6月に終えました。
そのコースは、絵を描く基礎、コンピュータで絵を描く技術、そしてフォトショップでの技術習得に焦点があてられていて、卒業するとビジュアルエフェクトの仕事につけるものです。
学校を卒業した学生達は、映画やテレビ業界で知られているコンピュータソフトの資格を持っています。卒業生には、他のスタジオで働いている人もいます。
「自分に正直になりなさい。そうすることが、私たちにとってもっともよいことです。」
マーベルの副社長ビクトリア・アロンソが言います。
「細部のこだわる子どもたちのおかげで、ビジュアルエフェクトが現実に優ることができるのです。」
これまでに、3人の卒業生が他のスタジオでのフルタイムの仕事についています。
その一人はマーベルスタジオで働いています。
エクセプショナル・マインド学校を作ったユーディが言います。
「私たちは、発達障害の子どもたちに、バッグを持たせてスーパーマーケットで買い物の仕方を教えたりもしました。それから、子どもたちは自分ができることをどんどん伸ばしていって、ついには映画産業に貢献する存在にまでなったのです。」
https://youtu.be/wx6XSRY_MTw
(出典・画像:米Southern California Public Radio)
キャプテン・アメリカ、アベンジャーズ、みんな見てます。得意なこととマッチして活躍をする姿をみるのは発達障害の方のみならず、多くの人にとってうれしく、元気になれることです。
他にも、発達障害の方に能力を発揮して頂こうとする機運が高まっています。
天才が語る。受け入れていかないとみんなが不幸。
(チャーリー)