- 他の子どもたちは、タイラーについてどう思っているのだろう?
- カウンセリングを受けた結果、タイラーはどのように変わっていったのか?
- タイラーが自分の体験を本として出版したことで、どのような影響を与えたのだろう?
タイラー・イマンは世界を変えてくれるかもしれません。
他の10歳の子どもと同じように、宇宙やタイムトラベルに興味を持ち、科学者になることを夢見ています。
他の子と少し違うのは、タイラーはアスペルガー症候群だということです。
感覚に困難をかかえる発達障害の一つで、大きな音、鮮やかな色は辛く、冗談も理解することができません。
タイラーは2歳の頃から本を読み始め、複雑な会話もすることができました。
しかし、タイラーの人生はたいへんなものでした。
小学生の間は、一人だけ教室ではなく廊下で過ごしていました。
そのために精神的な問題もかかえるようになり、
誰ともコミュニケーションをすることを止めてしまいました。
それは約1年の間続きました。
しかし、文章を書くことだけはできました。
自分には世界がどんなふうに見えているのか、どうしてそんなことをしてしまったのか、夜が怖いこと、そして孤立してしまっていること、それらタイラーをうつ病にさせたことについて書きました。
そして、それが”Invisible Me”(見えない私)というタイトルで出版されることになりました。
驚くほどの繊細さと洞察力から書かれています。
「僕は他の子と違ったように考えています。
だからといって、廊下に追い出さされるのはおかしいと思います。
どうして罰せられなければならなかったのでしょうか。
僕はコミュニケーションをすることを止めました。
自分が作り出した自分専用の言語でしか話しませんでした。
他の人には認識できないものです。
僕がつらい状況にあることを母に伝える方法はそれしかありませんでした。
僕はロボットのようになりました。
どんどんできていたことができなくなりました。
僕に開かれている世界はないと感じました。
僕が居ていい場所はあるのか?僕のような子どもはどこで学べばいいのか?
数学にも興味がなくなりました。自分が誰かもわからなくなりました。
自分を動かせなくなりました。簡単なこともできなくなりました。
僕は床に座って揺れていました。叫びました。
僕のとなりで寝ていたお母さんのことを覚えています。」
タイラーの母親のトレイシーは、息子を失ってしまったかのように感じたと言います。
「タイラーにとっては、勉強することは大好きなことだったんです。
それをできないようにすることは、タイラーでなくしていまうことです。
息子のタイラーは世界を他の人とは違ったように見ていることを知っていました。
タイラーは孤立していました。
タイラーは『超ひも理論』や重力について話すことを止めると、わからないことを言って揺れ動くようになりました。
どんなにタイラーはつらい状況にあったのか適切な言葉が見つかりません。
しばらくの間、息子を失ってしまったかのように思いました。
どうすれば戻ってくるのかわかりませんでした。
あんなに本が大好きで、いつも持ち歩いていたのに、本を読むこともありませんでした。
信じられないほどのことでした。」
そして、タイラーがそのようなつらい状況にあるときに最愛のおばあちゃんをなくしました。
家族たちはカウンセリングを受けました。タイラーもカウンセリングを受けました。
タイラーは自分の気持ちを書き続けることによって、それまでのタイラーに戻りました。
「タイラーがおばあちゃんを失ったのは、初めての大きな悲しみになったはずで、大きな困難になったはずです。
カウンセリングは素晴らしいものでした。家族全体が助けられました。
タイラーは自尊心を回復しました。世界にタイラーの居場所があることを一緒になって教えてくれました。」
母親のトレイシーは、息子のタイラーが元に戻った瞬間をはっきり覚えています。
出版社から、カウンセリングを受けた結果として書き続けたことを出版したいと話されたときです。
「息子のタイラーは私に言ったんです。
『こんなことになって誇りに思える。』そうして、表情が元に戻ったんです。
息子の長い空白の時間が終わり、息子はこれに取り組めて、息子が戻ってくると思いました。
そうして、文章を書き加えていくと、もっともっと戻って来ました。
母親が子どもを信じるように、子どもも親に与えてくれるものがあるんです。
今は、完全に元に戻って、可能性にチャレンジできます。
どんな可能性があるのかを見れることに興奮します。」
タイラーの友だちは、タイラーは変わった教授のようなタイプだといいます。
蝶ネクタイを着けたいと思っているタイラーはそれに満足です。
タイラーには素晴らしい友だちがいます。
保育園から一緒だった友だちは、タイラーをいじめたりすることはありませんでした。
ちょっと変わった小さな教授として受け入れていました。
タイラーは自分の気持ちを書きとどめることによって、何が起きたのかを理解することがしやすくなったといいます。
「僕は、自分の本が出版されることをとても誇りに思います。
僕は、僕がそうであったように、より良くなることが見えないと感じる人たちへメッセージを届けたくて本を書きました。
自分が楽しいと感じることをしてください。他の人と合わせなければならないと思わないでください。
僕は読書が大好きです。宇宙と科学を学ぶことが本当に大好きです。
他の子どもは、僕が話していることをおかしいと思うかもしれません。
しかし、そう思わないようになってほしいと願っています。」
そしてタイラーはこう付け加えます。
「親や子どもの、ただ一人だけにでも、人生を歩んでいけると手を差し伸べることができればそれで満足です。
アスペルガー症候群の人たちがあきらめてしまうことがないようにしたい。
より良くすることができます。物事は変わります。
自分が違うことを受け入れて、あきらめないで、自分を信じていきましょう。」
(出典・画像:英Coventry Live)
回復できて本当によかったと思います。
少なくない人がこの出来事に励まされます。またその本でも励まされる人が多くいることでしょう。
違っていいんです。むしろ違うことがいいんです。私はそう思います。
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(チャーリー)