- 発達障害のある人でも運転免許を取得することは可能ですか?
- 発達障害のある人が運転する際にどのような困難があるのですか?
- 発達障害のある人が運転を安全に行うためにはどのような準備が必要ですか?
発達障害の人の車の運転を不安に思うかもしれません。
しかし今回の研究では、知的障害のない発達障害の人は免許の取得に時間はかかるかもしれませんが、車を安全に運転できることを伝えています。
研究では、発達障害の人は発達障害でない人に比べて、運転スピードを一定にたもち、車線内を走り続けることに困難が認められました。
しかし、既に運転免許を取得している発達障害の人については、そうでない人との差は認められませんでした。
「自閉症スペクトラム障害の人や家族は、車の運転を躊躇することが少なくありません。
家族は、特に難しいと考えているはずです。
車の運転は複雑なものです。
しかし、発達障害の人は、運転免許を取得するまでには時間がかかるかもしれませんが、自動車を運転できないわけではありません。」
そう、米オハイオ州コロンバスにあるネイションワイド・子ども病院の小児神経心理学のクリスティーナ・パトリック博士は言います。
発達障害では、社会的なスキル、反復的な行動、発話、非言語のコミュニケーションなどに問題が生じます。
10代の発達障害の人で、自動車免許を持っているのは33%です。
発達障害でない10代では、84%が自動車免許を取得しています。
今回の研究調査では、16歳から26歳までの100人の若者が参加しました。
半数は発達障害の人、もう半数はそうでない人です。
年齢や性別、運転免許の取得状況、IQなどは、ほぼ同じになっています。
バーチャルリアリティの運転シミュレータで、運転技術の評価を行いました。
シミュレータでの運転はだんだん難しくなっていくものです。
最初は田舎の道を運転しています。
そして、会話をしながらの運転になったり、車線変更や速度変更などの課題が追加されていきます。
研究チームは、そのなかで運転速度の維持、決められた車線内での走行など、基本的な運転技術について評価測定しました。
発達障害の人、そうでない人、どちらも制限速度を守ることに問題はありませんでした。
しかし、発達障害の人は複雑な状況下での運転になっていくと、車線の維持、運転速度の維持が困難になっていました。
運転免許証を取得済の発達障害の人については、このようなことはなく、発達障害でない人と違いはありませんでした。
しかし、運転免許を取得していた発達障害の人はわずか7名しかいないことは考慮すべきことです。
「今回の研究では、発達障害の人は最初、運転技能を取得するのには困難を伴うために時間は多くかかるかもしれませんが、十分に練習をすることで、発達障害でない人と変わりなく自動車の運転ができることを示してます。」
そうクリスティーナ博士は言います。
しかし、発達障害の人は、自動車を運転する他のすべての人たちが、完全に交通ルールを守るものだと考える傾向が高いため、停止信号を守らないで車が飛び出してくるようなことを予期しない危険性があり、これが実際に自動車を運転する場合には問題になることも指摘しています。
この研究は、Developmental and Behavioral Pediatrics誌に掲載されています。
(出典:米Health Day)(画像:Pixabay)
不安を感じることは本人にも、まわりにもあると思います。
しかし、どうしても必要なこと、それができることで大きく生活の質が改善することがあります。
簡単に無理とは決めつけないで、不安を取り除き、可能性を照らすのに十分な証拠となる、このような客観的な研究は必要とされるものです。
発達障害のレーサーはただ一人、車に傷をつけることもなかった
(チャーリー)