- 発達障害の子どもは食物アレルギーを持つことが多いのか?
- 発達障害とアレルギーに共通の原因があるのか?
- 親からの聞き取り調査は発達障害とアレルギーの関係性を評価するのに信頼できるのか?
発達障害の子はそうでない子に比べて、食物アレルギーである確率が2倍以上という研究結果が発表されました。
発達障害の子たちは、花粉症のような呼吸器系のアレルギー、湿疹が出るなどの皮膚アレルギーのリスクも高いと伝えています。
米国アイオワ大学公衆衛生学のチームによるこの研究は、発達障害とアレルギーの両方の原因が、免疫系の発達に共通して関係することを示唆しています。
しかし、米国医師会の”the journal of the American Medical Association”に掲載されたこの研究について、米国医師会はこの関係性について新しい証拠は示されておらず、注意をして制限して理解するべきとも加えています。
「免疫系システムの発達に問題が生じることで、脳の発達や社会的な機能に影響を与えるのかもしれません。
そうであれば、自閉症スペクトラム障害の発症メカニズムは、生命の早い段階から始まっていると考えられます。」
そう研究チームのウェイ・バオ助教授は言います。
発達障害は、コミュニケーションや周りの世界の捉え方に影響を与えます。自立できている人もいますが、サポートを必要とする人もいます。
今回の研究では、米国で行われた国民健康調査の1997年から2016年までに親たちから集められた20万人の子どもたちのデータを調査しました。
自閉症スペクトラム障害の子どもは、そうでない子どもに比べて、食物アレルギーの人は2倍以上、+129%も多く、皮膚アレルギーも50%多く、呼吸器系のアレルギーも28%多いことが、その結果わかりました。
しかし、この調査は実際の子どもたちの診断情報をもとにしたものではありません。
親たちに、子どもが発達障害、アレルギーと診断をされているか、過去12ヶ月内に子どもが特定の食物でアレルギーを起こしたことがなかったか、聞き取りをしたものです。
そのため、専門家からは、親からの聞き取り情報であるため、完全には信頼できるものでないと厳しい指摘を受けています。
この調査結果からわかる事実は、発達障害の子の親たちは、軽度の食物アレルギーにも気づき、それを報告することが多いということです。
発達障害ではない子の親たちは気にしない可能性のあるほどの軽度なものであっても。
発達障害の人たちの支援団体オーティスティカの科学担当である、ジェームス・キューザック博士はこう言います。
「発達障害の子どもを持つ親たちは、他の症状についても気になりよく報告をするものです。
発達障害の子にはアレルギーが多いという研究結果も、それが言えると思います。
一方で、以前の研究で、発達障害の人たちは喘息を含む健康不良が多いことが示されているため、今回の研究はそれと共通しています。」
今回の研究で、発達障害とアレルギーの両方が免疫系システムの発達問題が原因と考えられるものの、他の遺伝的な原因や環境による原因も考えられることを、今回の研究を発表したバオ助教授も認めています。
「今回の研究では、発達障害とアレルギーに何らかの関係がある可能性を示したものです。
実際にその2つに関係があるかは、さらなる研究を行う必要があります。」
(出典:英INDEPENDENT)(画像:Pixabay)
親からの聞き取った20万人の子どものデータでは、発達障害である子はアレルギーのある子も多かった。
しかし、
・発達障害の子の親は、そうでない子の親に比べて、軽微な症状も報告してしまう可能性があるために聞き取りデータは根拠として十分でないという指摘がある。
・発達障害の原因も、免疫系の発達に関係すると考えるにはその証拠が示されていない。
という研究でした。つまり、
「発達障害の子には、アレルギーが多いと親が言っていることが多い。」
というのが、現在わかった事実です。それ以上については今後の研究とのこと。
研究結果がオープンにされ、批判、指摘があるからこそ、医学や科学は信頼できる頼りにできるものになっていきます。
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(チャーリー)