- 高機能自閉症の少年は音楽を通じてどのように世界を見ているのか?
- どうして自閉症の少年は音楽を通じて自己表現や感情表現をするのか?
- 自閉症をもつ子どもやその家族にとって音楽はどのような影響を与えるのか?
音を通じて世界を見ている高機能自閉症の少年がいます。
少年にとっては曲を作ることは当たり前のことです。
音楽と少年との強い関係は、生まれたときからずっとです。
この少年マイケルは11歳のときには、モーツァルトの曲を聞くと誰かに教わることもなく一人でスマホのピアノアプリで弾いていました。
マイケルは自分が持っている音楽の才能について、頭の中で音楽をダウンロードしているのだといいます。
母親のナディーンは、息子のマイケルが突然目覚めて、頭のなかに曲があると言ったことを思い出します。
そのとき、マイケルはピアノのところにいくと、複雑な曲でも記憶だけで演奏できることを見せてくれました。
「音楽を聴くのが大好き、もっとたくさんの音楽を聴きたいと思って、GoogleとYoutubeで音楽を学びました。」
そうマイケルは思い出します。
「僕はもっと音楽を聴きたかったんです。音楽に夢中になりました。
教えられなくても、ピアノで弾けます。」
クラシック音楽よりもレゲエを聞いている家族の中でマイケルは育ちました。
マイケルは自分にとっての音楽は、他の人たちとは違うことを感じました。
例えば、音楽を聴くだけでピアノが弾けるのです。
母親のナディーンはこう言います。
「自分も他の家族も、クラシック音楽なんて聴くこともありませんでした。」
ピアノを弾くようになるとすぐに、マイケルは作曲をはじめました。
マイケルは「心が作曲してくれる」といいます。
そして、クラシックの曲を作ることは、自分を音楽を通じて表現できることで、自分を落ち着かせてもくれるものだといいます。
「自分はとにかく夢中になっています。
ただ夢中になると、曲ができます。」
マイケルが、自分を表現することを助けてくれるというのは、多くの発達障害の人と同じように困難をかかえているからです。
「僕は、思いのままにします。
作ろうと思って曲が生まれるのではありません。そのとき、生まれるのです。」
曲が「降りてくる」という感覚は音楽業界ではめずらしいものではないかもしれません。
しかし、他の人とは比べられないほど、マイケルにはそれはよくあることなのです。
そうして作曲できることで、マイケルは自分の人生を歩むことができています。
子どもの頃はいつも、マイケルは鼻歌を歌っていましたが、マイケルの才能が開花したのは偶然のことでした。
それは、音楽の教師のエマ・テイラーが学校の廊下でマイケルの鼻歌を聞いたときです。
エマは耳に入るとすぐに廊下に飛び出し、マイケルに才能を伸ばしたいと伝えて、歌を教えるようになりました。
そして今、リッチモンド・カレッジで舞台芸術を学ぶマイケルの音楽への情熱はさらなる高みに到達しています。
ここで学ぶことは、感情表現の困難への助けになるとマイケルは考えています。
マイケルは、最初は複数の外国語から無作為に単語を選んで、それを歌詞としていました。
しかし、今はきちんとした意味のある歌詞をつけています。
母親のナディーンも、息子のマイケルが自分が感じているものを歌えるようになったことを理解しています。
マイケルは、現代のクラシック音楽のアーティストになるという夢のために、作詞もできるようになりたいと考えています。
曲を作るとミュージシャンにそれを委ねて、その後には関わらないという今のやり方とは違うやり方をしたいと考えているのです。
マイケルはステージでの演奏も自ら行います。
「僕は作曲ができます。そして歌うこともできます。僕はそれをしたいのです。」
母親のナディーンはこう言います。
「私は息子の才能を信じています。応援します。
発達障害のためにこれまでに、多くの否定的なことがありました。
いじめもありました。
理解してくれない先生もいました。
今は学校でうまくやっています。
私は息子の歌声を聴くと本当に素晴らしいと思います。
息子を誇りに思います。」
(出典・画像:英BBC)
夢中になれるものに出会えて、親もそれを応援できる。
本当に素晴らしいことだと思います。
こうした親子がいると、勇気づけられる人も多いと思います。
キャプテン・アメリカとアベンジャーズを支える才能
(チャーリー)