- 言葉を話すことができない子どもたちは、実際に何を考え、感じているのだろうか?
- 発達障害やコミュニケーション障害を持つ人々が、周囲に理解されるためにはどのような支援が必要なのだろうか?
- イドのように、知性や感情を伝える方法が限られている人々に、どのようにして適切なサポートを提供すれば良いのだろうか?
21歳のイド・ケダーは発達障害です。話すことはできません。
幼い頃から、決してコミュニケーションはとることができないだろうと言われてきました。
しかし、7歳のときに母親のトレイシーは、息子のイドが自分をきちんと理解して、初めてコミュニケーションをとってくれたと言います。
家族たちはイドの誕生日パーティーを行いました。
イドは自分でペンを持つこともできませんでした。
そのために、母親のトレイシーはイドの手の上に自分の手を置いて、なぞったりしました。
すると、イドは理解ができているように感じました。
「私は大きな声で、驚きの声を出してしまいました。
今度は私の手にイドが何かを書いてくれたのがわかったんです。
何と書いたかはわかりませんでしたが。」
イドは読んだり、文字を書いたりすることはできないとみんなが思っていました。
しかし、そうではないことは明らかになりました。
「私は質問をしてみました。どうしてこれまで、そうやって教えてくれなかったの?
息子のイドは、方法がわからないと、手で伝えてくれたように感じました。」
母親のトレイシーは喜びました。
その瞬間にコミュニケーションをする、理解する能力はないと思っていたのが、そうではないとわかったからです。
「すごくうれしかったです。
しかし、早く気づかなかったことに大きな後悔も感じました。」
今、イドはiPadを使って、文字をタイプして話すようになりました。
1文字入れるのに3秒かかります。
時間はかかります。
母親のトレイシーとコミュニケーションをとれることを知って、イド自身も驚きました。
「私の知性が人に理解されることは期待していませんでした。
それは偶然によるものでした。
私に知性があることがわかってもらえると、体も動くようになってきました。」
そうイドが教えてくれます。
イドによれば、たびたび知性を見せることができても、専門家からは偶然のこととされてきたそうです。
母親に理解してもらえて、イドはとてもうれしかったそうです。しかし、複雑な気持ちもありました。
「私は怒っていました。
動かない体に閉じ込められてきた、イライラした経験があったからです。
すごく頭に来ました。」
母親のトレイシーは、イドの行動について疑問を抱く人もまだ、いたと言います。
ずっと、イドを見てきた専門家もすぐには信じてくれませんでした。
しかし、トレイシーは息子のイドに知性があると伝えてきたと言います。
「私は、自分が妄想を抱いているのかとも思いました。
しかし、これから息子は成長することがないと思うことのほうが、私には難しいことでした。」
イドはコミュニケーションができるようになって、世界が拓けました。
「私のお母さんとお父さんは、私にあった先生を見つけてくれました。
ここまでコミュニケーションができるようになるまでには、とても時間がかかりました。」
最初はダンボールにアルファベットを描いた表を使いました。
その次は、パソコンのキーボード。
そして、今はiPadを使うようになりました。
「コミュニケーションができるようになりました。
障害を乗り越えました。
これからは他の人を助けます。
話すことができない発達障害の人についての科学的理解をすすめてもらえるようにします。
コミュニケーションを行えるようになることは基本的な人権です。」
イドと母親のトレイシーは今、言葉を話すことができない発達障害の人たちがイドと同じように成長できるように助けたいと活動を始めています。
(出典・画像:カナダCBC)
うちの子も全く話すことができません。
なので、何を考えているのか親子でもわかりません。わかってやれないのが、本当に申し訳なく思います。
なので、できるだけ笑顔が見れるように、行動をしてきました。これからもそうです。
iPadを渡しても、ホームボタンを連打するばかりです。
でも、とても楽しそうです。
いつかこんなふうに、何かをきっかけに、考えを伝えてくれる、わかるようになったら本当にうれしいです。
発達障害の子にも。AI装置とのつきあい方
(チャーリー)