- 路線図や地図が安心感を与える理由は何か?
- マテイはなぜ地図や路線図に魅了されたのか?
- 発達障害を持つ子どもたちにとって、構造化と視覚化がどのような意味を持つのか?
2階建てバスなどのおもちゃの車やぬいぐるみ、枕はベッドの上にきちんと並んでいるように見えますが、発達障害のマテイ・ホセクにはまだ納得ができません。
一つのおもちゃの車を1ミリほど押しました。
そして、これまでの描いた何十もの路線図のフォルダを入れました。
重度のアスペルガー症候群と診断された13歳のマテイは、正確な路線図を描くことで、安心して落ち着くことができます。
そして今、その路線図はファッションのデザインにもなりました。
マテイの母親のミカエラはこう言います。
「神さまが息子から取り上げたものの代わりに、与えてくれたものだと思っています。」
マテイは騒がしい子どもでした。
「23時間も泣いている」
と隣人から壁を叩かれたり、車に傷つけられたこともありました。
そんなときに、マテイは地図に出会いました。
「以前住んでいた場所では、息子がずっとうるさいので出て行けと言われていました。
ある日、息子に地図を渡すと、全く理由はわからないのですが、とても静かになったんです。」
マテイは、本当に地図は正しいものなのかを確かめるために、路面電車と地下鉄の駅に行きたがりました。
そして、マテイは自分の好きな駅を含んだ地図を写し始めました。
マテイの状況が良くなるにつれて、家族の生活も変わりました。
マテイが小さかったころは考えることもできませんでしたが、休みの日には出かけるようになったのです。
「まずは観光案内所に行きます。そして路線図を手に入れるんです。」
そう母親のミカエラは笑います。
10歳でアスペルガー症候群と診断をされたマテイは、徐々に問題を見せるようになりました。
「アスペルガー症候群の子どもたちは言葉によるコミュニケーションに問題をかかえています。
また、写真などの画像についてよく理解することができます。」
そう、専門家のレンカ・ミシャリコバは言います。
「構造化と視覚化は、不確実性を減らすものとなって、予測可能性をもたらしくてくれるのです。」
思春期以降、うつ病や不安症に悩まされてきたマテイは学校では補助者を必要とします。
成績は平均以上です。
4年生から5年生になって、別の教室に変わったときには、学校の地図を描くことで対応することができました。
「すべてが正確であるように、僕は地図を注意深く描きます。
地図を見ると、僕は落ち着けます。
僕にとっても、それは面白いことです。」
あるとき、クリスチャン・ディオールの映画を見て気に入ったマテイは、リビングルームに置かれていたマネキン人形に自分で描いた地図をまとわせました。
「私はファッションが大好きです。私はマテイにこれはとてもいいと言いました。」
母親のミカエラは誇らしげに思い出します。
ちょうどその頃、母親のミカエラが携わっていた雑誌がプラハのファッション・ウィークと偶然にも提携をしていたため、マテイの地図を模した服がお披露目されました。
その服は購入され、その収益は発達障害の子を支援する基金に贈られました。
「マテイの作品を使って、発達障害の子どもたちを支援する他にはない取り組みなんです。」
そう、2007年のミス、チェコ共和国でオートトークの創設者であるカテリーナ・ソコロワが言います。
「マテイのデザインは普遍的なものなので、Tシャツ、下着、トレーナー、何にでも合うんです。」
人気が高かったため、マテイの地図のデザインを採用したリュックサックやカップ、スマホケース、衣類、その他のアイテムを販売する会社も家族で立ち上げました。
(出典・画像:シンガポールYAHOO!)
地図や路線図が大好きな発達障害の方はNHKの番組でも拝見したことがあります。
秩序だっていて構造化されていて、どこに伸びてどこにつながるかわかる。決められていて予測ができるこその安心感と美しさをたくさん感じられるからだろうことは納得できます。
そして、ファッションとの出会い。
チャンスが広がるような、こうしたお手伝いが出来たら、親としては最高ですね。
Googleストリートビューで伝える発達障害の子
(チャーリー)